第1話
桜が咲き誇る4月6日、ここサンセントラルの首都、オストハウシュタットではある重大イベントがある。
それは、「オストハウシュタット都立魔術学園」の入学式があることだ。
サンセントラルで5つある魔術学園のうちの1つのこの学園は毎年ここの卒業生によって桜や他の花が咲き誇ることから別名「
魔術は全員が生まれながらにして使えるもので、そのなかでもさらに魔術を学びたい思いやってくるのが魔術学園である。故に皆中学校では成績上位、裕福な家庭で生まれそだった人が多い。
ただ、そうでない家庭でも入ることはできる。そのうちに1人、
「ここが、魔術学園か。面白そうだな。」
そう小さくつぶやいたあと無常は正門をくぐり抜けた。とそこには、いくつもの綺麗な花木が新入生を出迎えていた。桜、薔薇、チューリップ、梅……数えきれないほどの種類に無常は圧倒されながら歩を進めた。
「君、新入生だよね。」
いきなり話しかけられた無常は戸惑いながら隣を見た。そこには少女がいた。無常は急いで周りを見たが無常の周りには少女と少年以外誰もいなかった。
「……俺?」
「あははっ君以外に誰がいるんだよ〜」
笑いながら話しかけてきた少女は、外見は少し幼く見えたが顔は整っている。美しくも可憐な少女は
「私、桜。
ととても純粋そうな目で、声で話していた。その顔はここにあるどの花木よりも素敵だった。
「良ければ、君の名前も教えて欲しいな。」
「……俺は魔無部 無常。よろしく。それより、どうしていきなり俺に話しかけてきたんだ?」
少女――桜は少し考えてから答えた。
「君がいかにも田舎出身って感じがしたからかな?」
彼女の答えに呆気に取られていた少年は数秒硬直した後
「そんなことで話しかけてきたのか。というかよくわかったな、俺が田舎出身だってこと。」
「そんなの誰が見てもわかるよー。だってこの花や木なんてここら辺にいれば見慣れてるもん。」
どうやら無常が田舎出身を見抜かれたのはこの花木を珍しそうに覗いていたからだったらしい。
「そうなのか。俺のいたところではこんなのなかったからな。そりゃ気付かれるのは必然か。」
「それよりさ、こんなところで突っ立ってないでさ、早く行こーよ!もうみんな整列してるよ!」
少年が前方を見ると、ざっと一万人は入るであろう体育館のようなところがあり、そこに新入生の長蛇ができていた。
「ほんとだ。いこう。」
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