第7話

7話

「次ね。3番の片桐君と、4番の神城君、出てきて頂戴。」


「…はい。」


「やっと僕の出番がきたようだね。」


 次に出てきたのは暗い感じで髪が目のところにまで伸びていて、顔立ちは良かったが、パッとしない雰囲気の少年と、長髪で背が高く明るい感じだが、どこかミステリアスな雰囲気を出している少年だった。


「…では、第二試合…始め!」


 冷香の合図と同時に神城と呼ばれた少年――神城かみしろ天然あまねが駆け出した。


「先手必勝!こちらから行かせて貰うよ!」


 そう言った神城の手は何か電気のようなものを帯びていた。


穿うがて!ボルトショック!」


 神城は電気が帯びた手を相手――片桐かたぎり夜白やしろに突き出した。すると、夜白の姿が消えた…否、夜白が高速で神城の背後に回り込んだ。


「…遅いね。」


 焦って後ろを振り向いた神城の顔面に夜白は一撃を喰らわし、そのまま神城の顔ごと地面に叩きつけた。


「…勝負ありね。勝者、片桐夜白。」


「…相手の攻撃を予測した立ち回り、またはあらかじめその攻撃が来るのを知っていたかのような立ち回りだったな。」


試合を見ていた無常が呟いた。それを隣で聞いていた桜は目を丸くして


「すごい…何もわからなかった。あの夜白って人、結構強いね。」


「…あの神城って人の体術――って言ってもただ突っ込んだだけだけど、それでも常人にしてはかなり速かった、というかさっきの赤井っていう人と戦っていたら体術だけで言ったら神城が勝っていたはずだけどその人の攻撃を避けてなおかつ一撃で試合を終わらせたとなると…強いなんてもんじゃない。なんでD組にいるのかが不思議なくらいだ。あの人はA組でも十分上位に立てるほどの実力者だ。」


 そう淡々と告げる無常の目は驚きと謎が混ざった目をしていた。謎の原因は夜白よりもあの神城天然という人だった。


 ……なんであの人は固有魔術を使わなかったんだ?


 通常、魔術より固有スキルの方が断然強い。何故なら固有スキルはその人のみが持つことができる能力だからだ。その人のみが持てる能力ということは、相手は対策ができない。つまり完全初見プレイから始まるからである。それなのに何故魔術を使ったのか。しかもボルトショックという電気魔術の初期魔術を。


 ボルトショックというのは数ある魔術のうち、初期魔術という最初に扱うことができる、いわば初心者用の魔術である。初期魔術は小学校3年生位になると使えて当たり前と言う程扱いやすい魔術である。その先の魔術、中級魔術程度は中学生でも扱うことができる。

神城は高校生なので魔術学は、中級程度だと扱えて当然だ。というか公立中学校であれば中級魔術は授業の必須項目になっているはずなので使えないわけがない。なのに何故、小学3年生でも使える初期魔術を使ったのかが無常を悩ませていた。

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