奈落の少年と虚無の魔術

ひみこ

第0話

 ——ここは西暦千二万九百三十年のサンセントラル。


 かつて日本と呼ばれていた国。


 世界は西暦2999年に直径二万キロメートルの隕石と衝突し地球は消滅した.....はずだった。

 その時地球は謎の光に包まれて隕石を跳ね返した。

 人々はこの光を「最終防御光機」と呼んだ。


 それからというもの、白い光のようなものを纏う子供が現れたり、また、黒い光のようなものを纏う子供が現れたり、時には相手と目を合わしただけで相手を気絶させてしまう子供が現れたりした。しかし、この光のようなものは子供達にしか見えなかったため、当時は信じられていなかった。気絶したのもたまたまだろうとされた。


また、謎の地形が現れた。洞窟のようだが、妙に作り込まれてるような、けど明らかに人が作ったものじゃないような建物が世界中に現れていた。


 そのうち、大人たちも信じ始め、多くの研究者が興味を示した。


 あるオタクはこの現象を「まるで異世界に転移したみたいだがここは日本であり、人も生物も何も変わっていない。強いて言えば生まれてくる子供たちに変な力が宿ったり、変な建物が世界中に現れたことぐらいだ。そう、例えるなら、、、異世界と地球が融合したような、けど融合とも言えないようなそんな感覚だ。」と語った。


 ある人は謎の力を最初は「超能力」と呼んだ。

 数十年後、ある人が「これは本当に超能力なのか?だとしたら皆が使えるから、超能力の定義とあっていないではないか。」


 またある人は「相手と目を合わせただけで気絶させるなんてまるでかつて悪魔や魔女が使っていた魔力まりょくと同じではないか。」と考え、超能力から「魔力」に改名された。


 魔力は全部で3つあった。


 一つ目はほぼ全ての人が使える魔力パワー

 この魔力はトレーニングすることで魔力量を増やすことができる、言わば筋肉と似たような力だった。

そしてこの魔力には、正の力と負の力があった。正の力は、白色の光で、負の力は黒色の光だった。

 

 二つ目は生まれた時から特有の人のみが持っている先天性の特別な力、先天性魔力スペシャルパワー、この魔力は纏うだけで相手を威圧させることができるが、この魔力からは魔術は発動せず、魔力量も増やすことはできない。


 三つ目の力は誰も使ってはいけないとされる魔力、禁忌の力があり、誰も使ってはいけないと書いてあるが、正確には使が正しい魔力だった。

 

 ある日魔力を使って遊んでいた小学生の手から火を出し建物を全焼させた事件が話題となった。


 この事件から、「魔力には練ることだけじゃなくて他のこともできるのではないか。」と考える研究者が多くなった。


 そのうちの1人、杉谷すぎたにはじめが「魔力には、練ることで使える技、魔術まじゅつがある、と発表した。


魔術には、大きく分けて「火」「水」「電気」「風」「体力強化」の五つの魔術が使えた。

 この五つの魔術を使うことでできる魔術系統は「攻撃魔術」「防御魔術」「回復魔術」「生活魔術」の四つの系統が決められた。


この魔力と魔術を使えることで人々の生活は一変した。


 この異常事態は他にもあり、その一つとして、月がふたつに増えていた。ふたつ目の月は「ゲート」と呼ばれた。


 最終防御光機から100年後、神と名乗るものが現れ、こう言った。


「私は神だ。お前たちは同じ種族なのに争ってばかりいる。だが、お前たちの愚行は見ていて面白い。そこで、私を楽しませるためにお前たちにはさらに力を与えてやる。もっと争え。私を楽しませてくれ。」


 すると、神の使いとなのる謎の人型をした生物が現れ、生まれた子供が10歳になると適正職とそれにあったステータス補正と固有スキルを与えるようになった。


 ここでいうステータスとは自身の運動能力を表したものであり、生活魔術のうちの「ステータス」という魔術である。そして神の使いはそのステータスに影響を及ぼすことができた。


 そして固有スキルとは、10歳になると神が決めた1つだけのスキルのことである。スキルは沢山の人がみんな手に入れようと思えば手に入るが、固有スキルはその人自身しか持っていないスキルである。


 最終防御光機から1,000年後、今までに見たことのない種類の生物が「ゲート」から出現した。

 その生物は元々地球にいた生物より強く、元々地球にいた生物を襲い始めた。


それからは、ゲートではなくて、妙に作り込まれていたあの建物から出現するようになった。そこはさまざまな種類の生物が巣食っていて、入ったら最後、まるでダンジョンのようだった。後にこの建物は、要塞ダンジョンと名付けられた。

 好戦的な種類の生物を「魔族アスモディア」厭戦的な種類の生物を「非魔族アンチアスモディア」と呼んだ。中立的な種類の生物は「平和族」と分類された。

 人々はしばらくの間、魔族を倒すために争いを一時中断して魔族を倒すことに集中した。魔族が少し落ち着いてきた頃、人々は再び争いを再開した。


魔力に魔術、そして要塞ダンジョンから溢れ出てくる無数の魔族アスモディア。この三要素から、人々は、「この地球は異世界と融合したのではないか。」と考え、今までのこの現象を「異世界融合いせかいゆうごう」と名付けた。


 最終防御光機から10,000年後、種族が完全に確立した。主な種族としては、「人族」「魔族」「精霊族」「獣人族」「亜人族」「ドワーフ族」「神族」が挙げられる。

 他にも「オーク族」「ゴブリン族」「エルフ族」「ダークエルフ族」など様々な種族が確立し、各々の領地を統治し始めた。


 このころは科学技術と魔術の解明が進み、科学を魔術に応用することも可能となり、科学技術と魔術を合わせた技術、「科学魔術」が出来上がっていた。


 最終防御光機から100,000年後、魔族を束ねる王、魔王が誕生した。そしてその魔王に対抗するために、神の使いから新たな適正職が発表され、初代勇者が誕生した。

 初代魔王は「ベリアル」初代勇者は「神聖しんせい いさむ」と言った。

 

 2人はおよそ5年もの間戦い続け最終的に初代勇者が勝つ結果に終わった。

 それからは100年ごとに魔王と勇者が誕生した。


 1,000,000年後、科学魔術中心に発展した。その頃の科学魔術は音や光、闇、毒の他に細菌、精神異常など、元々存在していた炎、水、電気、風の魔術からそれらを応用することでできる魔術が大量に発明された。


 10,000,000年後、科学技術の急発展により科学技術が魔術に追いつき、空間移動と時空移動が可能になり世界はより一層混沌と化した。すると神が再び現れた。


「この10,000,000年という短い時間の中でお前らは大いに成長してくれて私はとても嬉しいよ。だがお前たちは一つ重大なミスを犯した。それは、神々の特権である時の移動を可能にしてしまったことだ。その罰としてこれから生まれる子供の中から1,000年に1回呪いの子を生み出すことにした。その子は私の子だと思って可愛がってくれ。まあ、その子がお前たちに必ずしも良い行いをするとは限らんがな。その子を殺した場合は、、、それなりの覚悟をすることだな。」その日から1000年ごとに「呪いの子」と呼ばれる存在が生まれた。


 この千万年の間に人々の生活を一変させた神の名を知る者は現れることはなかった。後に災厄の神イスタマゼルと名付けられた。

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