第3話

 無常たち新一年生は、一旦学校側が用意した仮の教室に戻った。教室に入って先生がいなくなっても誰も話さなかった。


 人は考えることが他の人と全く一緒なんてことはとても珍しいことなので普通に生活していたらそんな事態になることはそう無いだろう。しかし、無常たちは今、全く同じことを考えていた。ここ魔術学園狂ってるヤバイ所だと。

 

 生きるも死ぬも自分次第、命の保証なんて夢のまた夢、学校PRポスターにあった笑顔で「安心安全な学校です!」と語る青年から想像するイメージとは正反対の命懸けな学園生活が始まると皆が皆そう思っていた。


 また、それと同時に、一つの疑問もあった。それは、生徒会長が放った「絶対に死なない」の一言。生徒たちを宙に浮かせたという事実があった後ですら、疑わしかった。


 生徒たちが理事長と生徒会長の発言を頭の中で何度も繰り返していると、教室に一つの音が響いた。コツコツと足音をたてながら教壇に立った人物は生徒を見回しながら言葉を発した。


 「辛気クセェツラしてんなぁ、お前ら。試験受かってここきたんだろ。もうちょっとお前らでワイワイガヤガヤとかねぇのか。……まあいい。俺はここの教師をやってる草加部くさかべじゅんっつーもんだ。まあお前らと関わんのはこの時間だけだが、よろしくな。早速だが、今からきてもらいたいところがあるからついてこい。」


 若い先生は、睨まれてると思うほど目つきで、服装もどこかのヤクザの組で若総長をやってるような服装で教室っぽくなかった。

すると1人の生徒が質問を投げた。


 「先生、どこに行くんですか?」


 草加部純と名乗る教師は、質問をした生徒を睨んでから


 「……お前らのクラスを決めに行く。いいから黙ってついてこい。」


と答え、教室を出ていった。

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