エグいよ怖いよ! んぐんぐんぐ……あ、なるほどぉ。

この物語について話すとき、短編の部分にはフォーカスできません。なぜなら本作は謎解き要素を含む作品に仕上がっているからです。これを崩すというのは読者様にとって害悪でしかなく、作者の野良ガエルさんにユンボで一発轢かれるかもしれません。
しかしながら、ぼくは本作、いえ野良作品についてあらためてみなさまにお伝えしたいことがあります。それは文章のテンポの良さです。これは他の追随を許しません。じつのところぼくは大の野良ファンなのですが、このテンポの良さについてはやはり伝えておきたいと思うわけです。

テンポといっても、575みたいな、ああいう言葉のテンポではありません。いえそのテンポも担保されているでしょうが、ここでお伝えしたいのは「せりふへの入り方と抜け出し方」のテンポなのです。ここに「せりふが来てほしい」と思えば(自然と思えば)せりふが来て、このあたりで「抜け出してほしい」と思えば抜け出してくれる。とにかくストレスのない書き方をされるのです。
これ、どうやって身につけられたんだろう、といつも不思議に思います。天性の才能なのでしょうか。これが、野良作品を安心して読める理由の一つです。それだけでなくキャラクターの良さとかせりふ回しの秀逸さとかいろいろあるんですけど、長くなりそうなので割愛……って、本作に対してのレビューしろって!?

いえそれがですね、冒頭で申し上げたとおりなかなか難しいのですよ。「読めばわかる」としか言いようがありません。街中に現われた異形の生物、それを解剖していく話なのですよ。しかし、本作で新しく見つけた「野良要素」がありますね。それはエグさをうまく書くなぁということです。後味悪くはなりませんので、あくまで局所的なエグさです。そこはご安心ください。ただ、こういうのも書けるんだなぁ……というのがぼくの感想でした。

でもあれだよね。
作中で異形の生物を「食えるかどうか」検討するシーンがあるんですけど、これはヤバいよね! ここが一番「んぐっ」となりました。全部読み終えて、その「んぐっ」はいい感じに昇華されました。ぜひ一緒に昇華しましょう。んぐっ。

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