テーマ:最強の能力

弓チョコ

テーマ:最強の能力

 ある日の放課後。教室にて。皆がそれぞれ帰宅、部活、アルバイトへと出ていって。


 残ったのが、3人。


「よし。考えてきたか?」

「俺にメッセで送ってくれ。黒板書くわ」


 男子A……坊主頭のヨシキ。設定担当。


 男子B……メガネのスグル。キャラ担当(?)。


 男子C……高身長のリクヤ。文章担当。


「うーわ。えぐいな」


 リクヤが高身長を活かし、黒板に箇条書きしていく。それを見て、スグルが眉をひそめる。


 カッカッ、と。チョークの軽快な音が鳴る。

 そこには大きく、こう書かれていた。


『主人公に持たせる強い能力』











「……全部でこんだけか」

「まあ、弱い能力は今回省くしな。限られてくるだろ」


 リクヤによる箇条書きが終わる。


・時間を操る

・重力と光を操る

・星を破壊する


「いや、あのよお前ら。考えてみろ。時間操ってどうすんだ」

「それはヨシキのやつだろ」

「馬鹿。時間系は最強って決まってんだろ」

「時間停めてあれこれってか? ……だるいだろ。結局停めてる間の『作業』は自分の手でやらなきゃいけないとか、なんかシュールでよ。ダセえし面倒くせえ」

「……それはお前……」

「で、なんだよ重力と光って。ふたつはズルだろ。おいリクヤ」

「いやいや待て待て。重力を操るってことは光も操れるんだって。ブラックホールは光も逃さないんだぜ? 最強だろ」

「そんなパワフルな重力操れるようになるまでどんだけ練習必要なんだよ」

「いやそんなの速攻だろ」

「一瞬でもミスると死ぬぜ? 能力者自身の身体が木っ端微塵だ」

「む…………」

「あと星を破壊するは、もうセンス無さすぎ。具体的な方法も分からん。これは却下だな」

「いやちょっと待てよ! 惑星破壊だぞ? 最強中の最強だろうが!」

「うーん……それ能力者自身の家とか職場とかも破壊されるじゃん。破壊した後死ぬだろ普通に」

「………………確かに」


 続いて。隣の段落。


・攻撃を跳ね返す

・攻撃を吸収する

・あらゆる攻撃が無効


「出たよこういう系。ていうかふたり被ってんぞ。リクヤとヨシキ」

「いや跳ね返すと吸収は別だろ。吸収してから吐き出すまではこっちのタイミングなんだから」

「それキャパオーバーで破裂して負けるのがオチだろうが。溜め込むのは良くない。やっぱ反射だよ。結局一番強い」

「いや、跳ね返すって動作がもう邪魔だろ。しかも味方を巻き込む可能性がある。やっぱ無効だ無効。何も効かねえのが最強」

「あのな、スグル。何をもって攻撃とみなすかの判断は誰がするんだ」

「いやとにかく全部だろ」

「ならお前、太陽光とか食事とか薬とかも無効か? 生きていけねえぞ」

「は…………?」

「確かに。概念系とか論理系の能力はきちんとルール決めて線引きしねえと考えた作者が馬鹿だと思われるぞ」

「いやそれは……空気で察するだろ……」

「駄目だ。もうそんな時代じゃない」

「む……。じゃあオンオフ切り替えできたら良いだけだろ」

「オフに狙われて死ぬじゃねーか。最強じゃねえよ」

「…………確かに……」


 さらに、次の段落。


・完全隠密能力

・任意に腹痛を起こさせる能力

・全員と仲良くなる能力


「……なんだこれ。完全隠密はヨシキか?」

「ああ俺だ。そもそも敵に見付からない。これが最強だろある意味。誰からも攻撃受けねえよ」

「いや、無差別範囲攻撃に巻き込まれるだろ」

「あ……?」

「だろ? なら俺のが強いって」

「いやお前…………なんだよ腹痛って。ふざけんなよ急に」

「いやいや、思い付いたんだから良いだろ。ていうか考えてみろ。一番嫌だろ? こいつと戦うのだけは。腹痛だぞ。いついかなる時でも絶対に痛くなる。割りと無敵だろマジで」

「…………うーん。まあ、絶対嫌だな。相手にするのもその能力者になるのも」

「そんなもん気にしないイカレ野郎には効かないだろ」

「…………やっぱネタの域を出ないか」

「で、残ったのがスグルの仲良くなる能力か」

「な? これが最強無敵だって。敵が居ないんだから無敵だろ。平和こそ最強。誰も傷付かないぜ」

「いや……待て。善意で傷付けてくるイカレ野郎が居たら破綻するだろ。仲良いが故に攻撃してくるような奴」

「…………おいおいなんだよ。結局どんな強能力あってもイカレ野郎ひとりに勝てねえってのか?」

「おし。書き足すぞ。結論」


・イカレる能力


「………………まじで?」

「まあ、イカレてたら攻撃とか食らっても気にしねえしな……」

「いやいや待てお前ら早まるな。そんなアホみたいな話があるかよ。じゃあ仲良くなるプラス、イカレを治す能力はどうだ」

「ふたつはズルだっつうの。あとイカレと普通の基準が明確じゃねえ」

「いやいや、じゃあ仲良くなるのは性格ってことでどうだ」

「いや結局イカレ野郎最強じゃねえか」

「いや待て。確か昨日、学校近くにイカレ野郎現れてたよな。ニュースで見たぞ」

「ああ! あれか。包丁振り回したとかなんとか」

「けどそいつ、普通に捕まってたろ」

「……え?」

「ちょ……」











 結論。


「良いか?」

「……しゃあねえ。厳正なる議論の結果だ」

「ああ。文句はねえよ。次の俺らの小説の主人公はこれだ」


 カッカッ、と。軽快な音が鳴る。力強く、強調するように円で囲んだ。


 →イカレ野郎には普通に警察力で対応

  →それ以外の全ての能力者に対しては仲良くなることで対応


・全員と仲良くなれる性格をした警察が最強

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