それは砂の強い日であった。
- ★★★ Excellent!!!
主人公とヒロインのデコボココンビ。商人の師弟(?)であり、健康器具(!)であり、お互いにとってかけがえのない大切な相手。
過去の柵や、家庭の柵、大切な人の死、因縁の仇敵。
様々な問題を、逃げること無く真っ向から立ち向かい、解決を目指してふたりは旅をします。
ぶっきらぼうなイクサと、すこぶるポジディブで可愛らしいリェリィ。
全く異なるタイプのふたりは、お互いに影響し合い、少しずつ、変わっていきます。
『あの』シーンは必見です。ここでは言えません。
あと、バトルシーンも必見です。スピード感があって、熱中してしまいますよ。
主人公最強。確かに戦闘力という面で言えば、イクサは最強です。
『紡流(ほうる)』という、この世界の人々なら誰しも持つ力があります。それは、砂を操るというもの。大小強弱があり、イクサは『最大最強』の紡流を持っています。
そんな彼は17歳。
そして、戦争を経験してきた戦士でもあります。なんと6年前。11歳の時に、その才能を使って戦地に赴き。
『砂上の戦神』の異名を付けられるに至りました。
彼の内面はどうでしょう。
強い紡流の才能に溺れることはなく。嬉々として敵を殺すことはなく。淡々と冷静に戦う性格をしています。
『人を殺すことを、戦争だから、などと言い訳せず、仕方ないで済ませない』
『その悪と罪を背負いながら生きてきた』
という、彼の哲学があります。
彼はその、無限だと表現される紡流の弊害で、常に頭痛に苛まれていました。
戦争が終わり。彼は商人として生計を立てていました。
そこへ現れたのが、ヒロインリェリィ。
彼女はなんと、紡流を持たないどころか、相手の紡流を吸い取ってしまうという希少な体質がありました。
この世界で紡流が無いというのは、とても不便で、吸い取るというのは忌み嫌われます。
また、彼女の出自にも複雑なことがあって……。
無限の紡流に悩まされるイクサと、紡流を吸い取るリェリィ。このふたりの出会いから、物語は始まります。
それは砂の強い日でした。