赤く赤く、この世を染めて——。

 民俗学や歴史、神話や俗説など、様々なエッセンスがふんだんに盛り込まれた物語。
 この物語のキーワードであり、主人公たちが謎を追う不吉な予言がある。
 「女の蜘蛛が、川や海を赤く染める」、と言うものだ。
 主人公たちが所属する黄昏堂は、数々の人外の者たちが働いている。つまり、主人公もまた人外だ。黄昏堂には、怪奇事件を解決する専門家たちがいる。憑き物であったり、妖怪であったりと、その面々は様々だ。主人公は彼らと共に、予言の謎を解いていく。
 九州が主な舞台であり、日本史だけでなく地域史や地形もヒントになるのも、特徴的の一つだ。
 果たして、女の蜘蛛とは何をさしているのだろう?
 そしてその蜘蛛が、何故川や海を赤く染めるのか?

 敵対する人外とのバトル要素もありますが、何より推理が面白い。
 知識として知っていたものでも、解釈が違えば違う一面を見せる。
 キャラクターたちも魅力的で、やり取りが面白かったです。

 是非、御一読下さい。

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