お客様の正体
応接室に入ると、そこには美丈夫な青年が2人いた。
「ルーク、挨拶できるかい?」
お父様に促されて青年2人に向かい合う形で立つ。
「こん、にちは。ルクライア・リーガルトです。」
僕がつっかえながらも挨拶をすると、2人も笑顔を浮かべて返してくれた。
「こんにちは。僕は洸国第二王子のアラステアです。」
「こんにちは。俺は第二王子殿下側近のエイベルです。」
自己紹介も済んだところでお互いにソファーに座る。
「さて、第二王子殿下?本日はどういったご用で?」
お父様がそう切り出すと、第二王子殿下が少し不服そうな顔をした。
「冷たいですね。従弟に会いたいと思うのは普通だと思うのですが…」
「そうかもしれませんが、アルを通して今は無理だと伝えた筈です。前置きはいらないので、早く本題に入ってください。」
「……仕方ありません。本題に入りましょう。実は、ノマライトの犯罪に関与していた人達について、ルクライア君に話がありまして、、」
「内容は?」
「彼らの刑罰が決まり、それの確認です。まず、孤児院の虐殺をした者達ですが……」
第二王子殿下のその言葉に息が詰まる。もう大丈夫だと思っていたけどトラウマはそう簡単には消えてくれないらしい。平静を装おうとするけれど、手が震えてしまう。震えを止めたくて俯いて手を握っていると、不意に抱きしめられた。
「無理に止めようとしなくてもいいよ。人徳に欠けた行いをされたんだから、トラウマがあるのは可笑しなことではない。彼らの刑罰については、私が後から話すこともできるが、どうしたい?」
抱きしめてくれたのはお父様だった。暖かい体温に包まれて、とても安心する。いつの間にか震えも止まっていた。
「しょこにいても、いいですか?」
正直、第二王子殿下から聞くよりお父様から聞いたほうが安心できる気がする。
「構わないよ。それじゃあ、行っておいで。」
「はい。しつれいします。」
お父様に返事をし、第二王子殿下達のほうを向いて退出の挨拶をする。
「今日はありがとうございました。顔を見れてよかったです。無理はしないでくださいね。」
第二王子殿下からの言葉を受けて僕は応接室をあとにした。
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