家族に……
「穢れてるって、どういうこと?誰かに言われたの?」
ラインハルトさんに問われて首を横に振る。そんなのじゃない。僕は自分から、穢れに行ってしまった。
「ちがっ、、」
「ねぇ、何があったか、話してくれない?ゆっくりでいいから。」
ヴィーさんに促されて、みんなから視線を向けられて、このまま黙っている訳にもいかない。僕は一息ついて、話し始めた。
「前の主様、とこに行く前、孤児院、いて、シスターがいろいろ、教えてくれて、楽しかった。でも、急に、知らない大人、きて、シスターを、殺して、僕達を、脅してきた。言うこと、聞け、皆殺しに、するぞって。それで、その大人達がもってくる、お仕事、やるようになった。最初は、軽い、掃除とか、採取とか、だった、、のに、途中から、討伐系が、くるよう、なって、どんどん、厳しくなって、戦えるの、僕だけ、だったから、僕が、やってた。そしたら、もっとできるだろって、言われて。人殺しの、お仕事も、くるようになって、最初は、嫌だって、言ってたけど、他の子に、手、あげようとするから、断れなくて、沢山の人、殺しちゃった。自分のために、沢山。なのに、お仕事から、帰ったら、他の子、死んじゃってて、、誰も、助けれなかった。だから、僕っ、」
「もういいよ。もう大丈夫だから。思い出させちゃってごめんね。」
ヴィーさんに抱きしめられて、話せなくなった。ヴィーさんが謝る必要なんてないのに、僕が悪いんだから。
「君は穢れてなんかいないよ。本当に穢れてるのは、その大人だ。生きるために、守るためにやったんだろう?」
ラインハルトさんに言われて答えようとすると、ヴィーさんが腕を緩めてくれた。そのまま膝にのせられて、抱っこされる。
「でも、僕、結局、誰も、」
「そうだね。ただ、君はまだ幼いだろう?子どもにできることは限られている。加えて、君の周りには頼れる人もいなかった。そう考えると、君は頑張ったと思うよ。」
「……うぅ。」
「あなたは自分を責めすぎているわ。確かに誰かを殺めてしまうのはいけないことだけど、全てがあなたのせいではないの。それだけ反省できているなら、十分なんだから。」
ラインハルトさんだけでなく、クリスティーナさんにまでそう言われて、何も言えなくなる。
「僕らの家族になれない理由は、それだけ?」
「そ…だけど、でも!」
「僕らはそんなことで君を嫌いになることなんかないよ。君がなんと言おうと、僕らは君を家族にしたいの。そろそろ、納得してくれないかな。」
ヴィーさんにも歓迎されて、もうどうしようもなくなる。僕は人を殺してしまったのに、みんなは嫌わないでいてくれた。僕を家族にしたいと言ってくれた。僕は……
「なぁ、お前はどうしたいの?」
唐突にアルフレッドさんに問われて反応が遅れる。
「自分がどうとかじゃなくて、お前自身。」
「僕自身?」
「君は、私達が嫌いですか?」
マリアーノさんの言葉に、首を激しく横に振る。
「では、私達と離れたいですか?」
「僕、は、みなさんと一緒に、居たい。もう、1人には、なりたく、ない。」
僕がそう答えると、不意に頭を撫でられた。
「だったら、家族になればいい。私達は君を歓迎するよ。」
嫌わないでいてくれたのが嬉しくて、家族にしてくれるのが嬉しくて、もうどうしたらいいのか分からない。それでもこれだけは伝えなきゃって思って、今の自分にできる精一杯の笑顔を浮かべた。
「あり、がと、ござい、ます。」
僕の言葉にみんなが笑ってくれる。この幸せがずっとなくなって欲しくない、そう思った。
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