お話

ぽかぽかして、気持ちよさを感じながら目を開けた。そして、目の前には、一定のリズムで安心する音をたてるヴィーさんの胸があった。少し顔を上げると、ヴィーさんの端正な顔立ち見えた。じっと見ていると、ヴィーさんが目を開けてこちらをみた。


「おはよう。」


「……?」


「お・は・よ・う」


「…おは、よう?」


「うん。おはよう。もう怠くない?」


朝の挨拶、初めてした!おはようって言えたら頭撫でてくれたし、朝から嬉しい。怠さは……寝たら無くなったっぽい。


「…大、丈夫。」


「なら、よかった。取り敢えず、ご飯食べに行こっか。歩ける?」


歩けるけど、離れたくないな。たった数分しか話してないのに、僕はもう、この温もりが離れていくのが凄く怖くなっていた。でも、我儘を言う訳にはいかないし、大人しく歩こう。


「歩、ける。」


僕がベットから下りると、ヴィーさんが手を繋いでくれた。


「これで、寂しくないでしょ。ほら、一緒に行こうか。」


嬉しくなって手を握り返すと、微笑んでくれて、2人で手を繋いでご飯を食べるところへ向かった。




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「ここが、ご飯を食べる場所。食堂だよ。いつ来ても料理人さんが何か作ってくれるんだよ。」


説明を受けながら一緒に食堂へ入る。中には昨日会った人達がみんな揃っていた。


「「「「「おはよう。」」」」」


「おは、ようござ、います。」


僕が挨拶をすると、みんなが微笑んでくれた。それから、ヴィーさんの隣の席に座らされて、食事を始めた。

見た事無いものが沢山ある。どれも美味しくて、久しぶりにお腹いっぱい食べた。最後にデザートと言って、何かの果実が運ばれてきた。


「これ、何?」


隣にいたヴィーさんに尋ねると、目を見開いて驚かれた。


「リンゴだよ。食べたことない?」


僕が頷くと、更にびっくりされた。そんなに有名なものだったんだ。僕、ホントに世間知らずだな……

なんやかんやあったけど、無事に食事を終えることが出来た。僕のところに運ばれてきたやつは、全部食べきれず、半分くらい残してしまった。美味しかったのに……申し訳ないな。




その後、みんなの食事が終わり、全員で違う部屋に移動した。


「私達の家族になってくれること、考えてくれたかい?」


部屋についてすぐ、ラインハルトさんにそう問われた。ヴィーさんは優しい人だったし、多分この人達もいい人。でも、僕は家族にはなれない。


「ごめ、なさ、ぃ…」


「私達と家族になることは嫌?」


そんなわけない。激しく首を横に振る。


「じゃあ、どうして?」


理由、言わないとダメかな。嫌われたくないな。でも、言わないと分かってくれなさそうだし、潔く嫌われよう。


「僕は、穢れてる、から……」

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