拷問官の男と心が読める少女。彼らは最高のパートナーとなりうるのか——?

 日常的に罪人を拷問にかけ、その秘密を暴くことを生業としているジャック。
 ある日、彼のもとに一人の少女が連れてこられます。連れてきた衛兵曰く、彼女は人の心が読めるということで、ひょんなことから尋問の手助けをすることになり——。

 ジャックの独白で語られるこの物語はとても静かで、それでも少女と出会ったことで少しずつ心を動かされていく彼の心情が丁寧に語られます。というか、そもそもの出会いから彼の優しさが滲み出ているように見えて、何だかとても胸を締め付けられました。

 やがて、一人の男が罪人として連れてこられ、その男と対峙したことで二人の運命は大きく変わっていきます。

 短いながらも、抑制され、かつとても美しい筆致で語られる、痛みを伴いながらもどこか温かい物語でした。

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