第14話 音楽活動 準備編
※動画投稿サービス名をToutubeと変更しました。
動画投稿サービス:Toutube
SNS: Switter
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俺と杏優と莉子の3人は、同好会の活動場所として与えられた部屋に集まっていた。
理由はもちろん、これからの音楽活動の日程や詳細について決まるためだ。
「じゃあ、これからの活動について決めようか!」
「うん!楽しみ!」
「そ、そうですね!楽しみです!」
そう言って彼女たちは俺の言葉に嬉しそうにする。
もちろん俺だって楽しみだ。
「じゃあ、まずはどの動画投稿サービスを使うかだけど……俺はToutubeがいいと思う。
理由はいろいろあるけど、一番はユーザーの数が他と比べて多いことかな。」
そう言って俺は、動画投稿サービスのユーザー数についてまとめられている記事を見せる。
「本当だ! 確かに多いね!」
「ほ、本当ですね。こんなに差があるなんて知りませんでした……。」
それは同感だ。俺だってまさか3倍以上もユーザー数に差があるなんて思ってなかった。
「それに、前にも言ったと思うけど広告収入っていうシステムがあるんだよ。」
「……なるほどね。動画に広告を表示させて、その広告の収益が私たちの音楽活動の収入ってことね!」
広告収入の説明を見た莉子がそう反応する。
「そういうこと。 普通は、音楽活動をするときは路上ライブとかCD販売とかをやって収入を得るイメージだけど、それで失敗したら大変だし大勢の人に見てもらうことは難しいと思う。だから、それをしないでToutubeで活動することで、CD作成とかの費用をかけないで上手くいけば収入を得ることができる。集客についてはユーザー数からわかる通り十分な人数はいると思う。」
「す、凄いですね……。そんなシステムがあるの知りませんでした私……。」
俺の説明を聞いた杏優は目を丸くしていた。
「で、でも、そんな簡単に誰でも収入を得られるんですか…?そんなの怪しくないですか……?」
続いて心配そうに質問をしてくる。
確かに、そんな簡単に誰でも収入を得られるならそう思うだろう。
「えっとね、実は広告収入を得るには条件がいろいろあって、それを満たした場合にだけ収入が発生するんだよ。あと、収入を得られることは間違いないかな。Toutubeの運営企業は世界有数の大企業で有名だから。」
「そ、そうなんですね!なら安心です。……それで、あの、その条件って……?」
Toutubeの運営企業は、サーチエンジンやWebブラウザで有名なあの大企業である。
「えっと、今の俺たちにとってハードルが高そうな条件は3つだね。」
「3つですか?」
「3つかー!!大丈夫かなー!」
2人はそう心配そうにする。
「たぶん大丈夫だと思うよ!……それで、1つ目の条件は「総再生時間が4000時間以上」だね。」
「4000時間?!」
「え……えっと、ほんとに大丈夫ですか……?」
――俺が条件を言ったとたん2人とも心配顔から諦め顔になった。
「えっと、これは難しそうに聞こえるけど実は意外と簡単だよ。しかも俺たちは音楽活動するんだから、他の配信者とかよりは簡単だと思うよ。」
そう言って俺は続ける。
「この条件は、別に一つの動画で4000時間以上ってことじゃなくて、複数の動画の再生数の合計だよ。
つまり俺たちの場合で言えば、3分のMVが1つだとしたら80,000回最後まで再生してもらう必要があるけど、
3分のMVを3つだとすれば、それぞれ26,700回くらい再生してもらえれば達成できるってことだよ。」
「そ、そう言われてみれば……」
「まあ、とにかくやってみないとわからないってことね!」
「うん。一度やってみるのが一番かな。」
やっぱり何事も挑戦してみないとわからない。
なのでやる前にあれこれ言うのはやめようと俺たちは思った。
「2つ目の条件は、「チャンネル登録者数が1000人以上」だね。これは、俺たちで作ったMVが人気出たら自然と増えてくるから大丈夫だと思う。」
「そ、そうだね。」
「うん!」
「もしかしたら、杏優のSwitterのアカウントで宣伝してもらう事になるかもだけど……」
俺は杏優に申し訳ないと思いつつもお願いをする。
「あ、それは問題ないよ……!そもそも私が自分で宣伝しようと思ってたから……!」
――なるほど。杏優は杏優で彼女のフォロワーに紹介をする予定だったのか。
俺たちのチャンネルだけじゃなくて、杏優のSwitterのフォロワーも増えてくれるといいな。
「じゃあ、3つ目の条件。3つ目の条件は「18歳以上」だよ。」
「え?!」
「そ、それって……」
「うん。俺たちは満たしてない。俺たちは高校一年生だから15歳か16歳だし。」
「たしかに……。」
「で、では……。」
「いや、俺もそう思ってたんだけど、調べたら大丈夫そうだったよ。……俺も最初は無理かなって思ったんだけど、俺が男子だってことを証明できれば大丈夫って書いてあった。」
俺がそう言うと2人とも揃って首を傾げる。
「えっと……そ、それは?」
「うん。何でそこで男子が関係してくるの?」
2人の疑問は最もだろう。なんせ男の俺だって意味が分からなかったんだから。
――まあ、今は理解している。――それでもこの条件に意味があるとはあまり思えないが。
「えっと、そもそも広告収入の条件に「18歳以上」を入れているのは、金銭問題や責任問題が発生した時のためっていうのはわかると思うんだけど、そうするとせっかくToutubeで投稿しようとしてくれた若い男性がいた場合に、面倒くさがって投稿するのを止めてしまう可能性があると思ったらしくて、男性が活動をする場合に対しては年齢制限を設けないって決めてるらしい。つまり男性ユーザーの獲得のためだね。
特に中高生は動画とか見るのが好きだから、そういう人はそのまま投稿する側になるケースがあるんだって。」
「な、なるほど……」
「でも、そんなことしてもあまり増えなさそうだけどね!男性の投稿者見たことないし!」
そう莉子が言ってはいけないことを言ってしまう。
「それはそうだけど……。でも今回は俺っていう18歳未満の男性ユーザーを獲得できたわけだから、成功したんじゃない?」
「た、たしかに!凄い!頑張ってるんだね!Toutube!」
そう言って、莉子は一瞬にして意見を反転させた……。
なんという手のひら返しの速さ。恐れ入った。
「――えっと、これでToutubeについて理解したと思うけど、何か質問とかある?」
そう言って2人を見ると、杏優が手を挙げた。
「えっと……Toutubeで音楽活動するときのチーム名とかチャンネル名って決まっているんですか……?」
杏優が俺にそう質問をする。
「いや、まだだよ。それは3人で考えようと思ってたんだけど――じゃあ、いまからそれを決めようか!」
「は、はい!」
「やっとだねー!!この瞬間を私は待っていたよ!どんなのにしようかなー!」
――こうして俺たちはチーム名を決めるべく、たくさんの案を出しては消してを繰り返した。
チーム名を決めるのは案外簡単そうに見えるが、この名前はこれからの活動で俺たちのシンボルのようなものになる。なので三人で真剣に楽しみつつ考えて案を出し合った。
――そして何十分たったのだろうか。
俺たちは満足のいくチーム名を決めることができた。それは――
――である。
後に彼ら「Malops」が音楽界に多大な影響を及ぼすことはまだ誰も知らない。
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作者です。
・もしかして由来わかる人いたりします?安直ですみません。名前を考えるのが苦手です。
・ここまで読んでいただいてありがとうございます!★や♥が頂けると嬉しいです!
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