第3話 改善会談(人間視点)
どうやらエルシィは司会のように進行を始める。
リインヴァルスは用心棒なのかミレイナの側に付いている。
「最初のお題ですがまだ戦争を続けますか?」
エルシィがお題を出すらしい。
「エルフの身としてみればもうやめてほしいものだな」
「獣人の身としては…絶滅寸前で…これ以上は」
ライクルスはようやく理解してきた。
「人間の身としてもこれ以上戦争は望まない、悪魔が被害を出さないと誓えるのならばだが」
しかしこれに人魚のミリリアントが反論。
「何を抜かすか、お主ら海賊の密漁とやらで我らは多大の被害を受けておる」
「リインヴァルス。密漁って何?」
「やってはいけないことですね」
「それはよくないわ、悪いことはいけないわよ」
悪魔に、それに現魔王にダメ出しを食らう人間代表ライクルス。
「それを言うなら俺たち人間も悪魔によって人を殺された」
「リインヴァルス、そんなことさせてたの?」
「いいえ、ミレイナ様が魔王になられてからはそのようなことは一切させておりません。もししたのであれば裏切り魔族も殺しておく必要がありますね」
確かにデモリストアが魔王の時は多大の被害を受けてきたがミレイナが魔王になってからは嘘のように悪魔関連の被害報告はなくなった。
となると人魚族を苦しめる密漁を人間代表としてどうにかしないといけない。
「あの…」
シロガネからの告発。
「わたしは獣人だと知られただけで人間から差別を受けます…なので人間のふりをして働いてもバレたら全く料金を支払ってくれなかったり…」
身分の違う差別。ライクルスが知らないところで起きていた実態。人間代表として差別もなくしていかなくてはならない。
「わたしたち悪魔も人間と会っただけで攻撃されて困るわ。攻撃されたらし返してもいいわよね?死んでもあなたが攻撃したからよってなるわ」
ライクルスは反論する。
「人間と悪魔では強さがあまりにも違う。攻撃と殺すを一緒に考えないでくれ」
「ならわたしたちの行動範囲に足を踏み入れないでくれる?」
エルシィは難しそうな顔をする。
「ふむ、この問題は和解できそうにないですね」
エリスメリアは何か思いついたかのように。
「確かに私たちは人間族と同盟しているが勝手に森の物を取るのはやめてほしいな」
「森の物?」
「あそこにはキノコや薬草があるようだが人間には価値がわからないらしい。人間で言う泥棒とやらをしないでくれということだ」
「どこまでが取っていい範囲なんだ?」
「そうか、その区別がエルフにしかできないな」
「草は知らない間に踏んでいるからな」
「森に入らないでくれ、は言いすぎになるしな」
エルシィは困り顔をする。
「ふむ、これも難しいですね。人間とエルフはそもそも種族が違いますからね。密漁、差別、範囲、物品。人間について困っていることは主にこの4つですね。ではそれを踏まえて次のお題に行きましょうか」
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