第10話 真相

 とある村に少女がいた。時代は分からない。その時期には悪魔という種族はなくその少女は作ることを趣味にしていた。その作り上げる才能は大人を驚かせるほどのもの。


 ある日、石ころのようなものを見つけた。惹かれたのかもしれない。少女は悪魔を作ることはできるのだろうか?と考えだした。


「悪魔になってみたいわねー、悪魔ってどんな世界でも滅ぼされて悪役だけど悪魔もいる平穏が訪れる未来を作れたら」


 すると何か聞こえたような気がした。


(ならお前がなればいい)


 それは石ころのようなものからだった。


(私はオッド、かつてデモリストアという名で魔王をしていたが敗北をした悪魔よ、お前の創造力なら悪魔も存在する平穏を創り出すことができるだろう)



 それから視界が真っ白になってたたずんでいたのは吸血鬼軍のいる領地。


(お前の体を借りた、ただしお前は悪魔の同族を3人、吸血鬼の同族を3人殺さなければ達成できない)


 彼女は血が飲みたくて仕方がなかった。しかし人を殺す勇気もなければ彼女自身に力はない。


(お前、名前は)


「ミレイナ、血が欲しい…血が欲しい」


(殺せばいい、別にお前の手で殺す必要はない)


 近くにいた青い髪の少女を見つけ彼女に噛みついた。後に彼女はミストルルと呼ばれる悪魔となる。


「あなた名前は」


「み、ミストルル…」


「3人吸血鬼を殺してきて」


 ミストルルは人間を吸血鬼し続け吸血鬼に変え吸血鬼に変えた吸血鬼を殺すことに成功した。始まりの吸血鬼のミレイナに噛まれたミストルルは他の吸血鬼とは格別に強い上に悪魔の血も流れている。

 ミストルルに噛まれた吸血鬼たちは勝手にミレイナを吸血鬼の王と決めつけ吸血鬼軍は旗揚げした。ミレイナとミストルルは互いに仲良くなり吸血鬼軍の領地に飽きた。そして二人は悪魔がいるらしい魔王城に向かいオッドと呼ばれる悪魔はかつての自分をオッド自身がミレイナの創造力を使い作り上げミレイナが召喚したことにした。ミレイナ自身に大した力はないのだ。下手をすれば普通の少女より弱い。

 ミレイナは自由でデモリストアという名のオッドに任せて眠ることにした。

 それから戦乱が開始した。



 黒い石ころだったようなオッドは白い石ころのようなものになってみた。


「ねえオッド、今度は天使がしてみたいわ」



 数十年後。


 天使長アンチリストアは息を引き取った。


「天使長がなくなられた今この座に就くのはミレイナ様しかいません」


「わたしね、今回の騒動は魔王シィルムによるものね、リインヴァルス、エルシィ。他種族を集めて今度は天使的に問題を解決しましょう」


「かしこまりました、ミレイナ様」


「承知いたしました、お嬢様」


 リインヴァルス、エルシィ。彼らはオッドの側近だったのかもしれない。ミレイナやミストルルが失踪してからリインヴァルスやエルシィも行方をくらましていた。



 こうしてミレイナによる会談戦争はまたしても幕を開けることになる。

 永久に同盟締結されることはないことを知りながら。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

多種族会談 @sorano_alice

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ