第6話 改善会談(獣人視点)
エルシィは何かを試していた。
「わたくしたち魔族は階級という飾りによって身分を一部騙しました。効果はありましたね。ですがわたくし達魔族、人間、獣人、エルフ、人魚が身分を対等にできますか?」
ライクルスはエルシィの言葉に食いつく。
「ちょっと待て、身分を一部騙しただと?エルシィとリインヴァルスは本当は順位が違うのか」
「いや、俺は二位だ、間違いなくな」
「わたくしは三位ですよ、それよりもです。この中で一番不利な種族が絞られてきますね」
獣人族は戦争前は数も多く繁栄していた。しかし個々の強さが弱く今回の戦争をきっかけに絶滅していたと思われたほど。獣人族に身分はほぼない。人間に差別されているくらいだ。
次に少ないのは希少種の人魚だろう。次にエルフ、人間、悪魔とこの中で身分が上なのは悪魔なのだがその悪魔自ら身分を同等にする提案をしてきた。
シロガネに関しては一番の問題点なのかもしれない。
「もちろん…賛成です」
「我は来なくてよかったな、身分など好きにすればよかろう」
「どちらでもよい、ということでいいですか?ミリリアントさん」
「我は好きに生きられればそれでいいのだ」
「私はもちろん賛成だぞ、だがいいのか?悪魔とエルフが身分が同じでも」
デモリストアとは真逆の考えを持っているのか変わり者の悪魔ミレイナは答える。
「わたしは退屈なのよ、身分とか好きにすればいいわ」
「お嬢様は自由ですからね」
「退屈ってお主何歳だ」
「わたし?デモリストアって何百年前からいたっけ」
なぜか呼び捨てにした。もしかするとデモリストアのやり方はあまり好みじゃなく嫌いだったのかもしれない。
「デモリストア様ですか、覚えておりませんね」
「まあだいたい数百歳よ」
戦争も数百年前から始まっていた。始まってからすぐ生まれた存在がミレイナだったのかもしれない。
「でも意外ね。表上最初に滅びる陣営は獣人族だと思っていたけど吸血鬼だったなんてね」
この戦争で一番初めに崩壊した軍は吸血鬼軍。
「あんな結末望んでなかったんだけどね」
「予期せぬ事態はつきものですよ」
「何とかしてくれたようで何よりよ、ライクルス」
「ん?どういうことだ」
シロガネにはミレイナがライクルスに感謝しているようにしか見えなかった。ミレイナは実はデモリストアのことをあまりよく思っていないのではないだろうか。
破壊を繰り返すデモリストアとは正反対としか思えないミレイナ。侵略より同盟を優先する友好的な稀な悪魔。
「めんどくさいわ、何か作ってる魔族がいる話したっけ」
「戦闘向きではなさそうだが戦場では見たことないが第5位のミストルルだったか」
「そうよ、そいつが面白いもの作ってたのよね」
それは青い髪の悪魔をリアルタイムで映し出す機械。
「どうやらわたしは作るのに向いてるのかもしれないわ」
そこに映し出される少女がどこかの場所で話す。
(やぁ、見てるかい。ミレイナ。今から撮るよ。この感覚、見てるのはミレイナじゃなくてエルシィ、ボクにはわかるよ)
「え…平気で呼び捨てにするんですね」
「そうだな、エルシィならともかくミレイナ様までな、ある意味ミストルルは俺より強いからな」
「なぜお前より強いレベルの悪魔が戦場で一度も出陣しない、していたのか?」
「いや、していないな。ただ彼女は作るのにはまってしまった」
「本当に困ったものですね、ミストルル様は。誰に似たのでしょう。身分が同等と化した、では次に予想される可能性は…この画面を見ればすぐにわかりますよ」
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