接吻　―祖国ハンガリーから―

少年イシュトヴァーンは、「ユダ」の接吻を恐れていた。善き労働者たれと己を律し、己を抑えて過ごす。そんな彼へと接吻したのは、褐色の肌をした異邦人の少年だった。

応募用として、元作品を原稿用紙３０枚分に削ったものです。

元作品https://kakuyomu.jp/works/16816700427637896089

【作品背景】

1951年のハンガリー。

ハンガリーは貴族制のある王国でしたが、第二次世界大戦にて枢軸国側として戦い、ソ連軍に全土を攻め落とされて降伏。戦後、共和国になりました。

1948年に共産党が政権を握ると、スターリン主義者の党首によって、国政は急速に左傾化します。
激しい粛清や宗教弾圧が行われ、庶民に対しても秘密警察を通じた密告や逮捕がなされました。

1956年…続きを読む