おんなの小話

化粧

おんなは化粧をすれば何にでも化ける

娼婦に淑女思いのままさ

貴方が望むその姿

お前が欲しいその仕草

できない事などありゃしない

こころもカラダも化粧（けわい）して

おめかし女を磨き上げ

望みの彼氏を手に入れる

そんなそんな世迷い言

お金と暇なきゃ出来っこない

だからだから関係ないさと

街の少女はマンガとアニメ

そしてお菓子にご執心

そのはずだった

そのはずなのよ

昨日まで

コスメに群がるおんなのこ

無邪気にオシャレにご執心

ルージュにマスカラ

ファンデーション

使いこなせば人気者

誰し彼もが振り返り

声をかけてはもてはやす

キミ素敵だねは常套文句

話しかけては誘い出す

ウソでしょこんなの

ありえない

だってアタシは変わらない

昨日も今日もアタシのまんま

中身は同じおんなのこ

だけどやっぱりおんなのこ

うれしくって

楽しくて

ワクワクしちゃうの

ホントだよ

毎日がアタシを中心廻ってる

そんな錯覚思い込み

それすらアタシは有頂天

ずっとこのまま続いたら

もっとこれから続くのよ

気が付いたらおんなになった

どこにでもいるおんなのこ

どこにでもいる女になった

おめかしエステに余念がないの

今日もカレシと出会うのよ

毎日カードを切るように

より取り見取り思いのままに

素敵な食事と

素敵な逢瀬

口説き文句はetc.（エトセトラ）

お好きなままに

お上手ね

オフィスラブなら玉の輿

狙って悪いかお局様よ

上司の機嫌を取りながら

同僚を出し抜く抜け目なさ

そうよ私はイイ女

デキる女を装うの

あんたたちなど目じゃないさ

微笑む笑顔に隠してる

偽善と疑惑の嘘つき女

でも世間の評判気にしてる

なんでどうしてこうなった

どこにいても一日中

気を抜く暇などありゃしない

誰が見てても構わぬように

今日も装うおんなです

それでも結婚子供もできた

娘も育ち少女になった

制服似合うお年頃

無邪気な自分がそこにいる

今日もおしゃべりlineに夢中

取り付く島もありゃしない

近頃おしゃれに色気づく

そんな娘に女の気配

そんな年ごろ迎えてる

またやってくるの

そのサイクルが

終わることなき

輪廻の季節

制服にそでを通し

スカートをはためかせて

いつかワタシもお化粧するの

ワタシはそのとき何してた

遠い季節を思い出す

何もかも素敵だったあの頃の

ときめきワクワク何処で捨てたか

もう思い出せない女です

何だかつまらない女です

夫の帰りに待ちくたびれる

くたびれた人生引きずってます

ワタシはこれから化粧する

「もう一度」なんて言わないけれど

もうこれっきりとは言わないの

女は輪廻を繰り返す

生まれ変わるは女の業よ

決して終わらぬ

夢を見る。