愛を乞う人々
愛していたっていうけれど
そんなあなたは何をした
こんなワタシに何をする
殴って
殴って
蹴り飛ばす
愛あればこそっていうけれど
そんなあなたは何が好き
そんなあなたは誰が好き
そんなあなたに女がいたわ
あなたは女を愛してる
きっと口説いてものにした
女をモノに貶めた
でもうれしいのね
そして楽しいのね
ワタシは不愉快よ
女は怒っている
そんな気持ちは何処へ行く
あなたを責め立て追いつめて
問いただすのは誰の罪
怖くて辛くて悲しいの
だけどそんな言葉さえ
あなたはこぶしで否定する
何が怖いの恐れているの
殴った後であやまった
それは謝って
それとも誤って
これは過ちだと言いたいの
あなたは誰に謝罪する
悔いているのは誰のため
ワタシそれとも女の方か
あなたはみんなにウソをつく
みんなあなたに騙された
懺悔の涙を誘うのは
ワタシの方だと言いたいわけね
そしてあなたは許されたい
涙の値打ちは値千金
あなたはそれを売り払う
それを女の下で愚痴るのよ
おんなの許しを期待して
慰められて欲しいのよ
女はそんなあなたを見つめてる
うれしいと思うの
哀れと思うの
ヒトを何だと思っているんだ
ふざけるんじゃないぞ
バカヤロウ
大概にしろよ
あなたはワタシの怒りすら
そうして
こうして
無碍(むげ)にした
ワタシが別れを告げる前に
あなたは別れを告げて去る
去る?サルはお前だこの野郎
ワタシは涙も涸れ果てる
だけどこの涙は誰のため
何のために流してる
ワタシもウソをついている
こうしていれば救われる
それを信じて流してる
こう言い聞かせて
嘘を吐く
女のウソは涙のしずく
流してしまえば
吐き出せば
女のホンネは
吐いてしまえばスッキリするの
悔いも懺悔も残らぬほどに
女はそうして生きている
貪欲なのよ女の業は
おんなを装い生きている
化粧の下の女の本気
あなたはそれが見抜けない
ワタシはそれが情けない
ワタシの涙は誰のため
気付かないとは誰のこと
男と女の愚かさを秤にかけて
裁きの宴
あなたはいつか裁かれる
あなたが連れた女の瞳
その嘲る色をあなたは知らない
騙されているのはどちらかしら
ウソとペテンの競い合い
地獄に堕ちろ二人とも
生きながらの
道行よ
ワタシは居城の女主
儚くて気丈
貞淑な哀れなおんなを演じます
これでいいのよね
それが大切なのよ
男の前で
男を相手に生きてゆく
夢と理想を適えます
そんな女を演じます
そのための化粧です
あなたが見ている生き物は
あなたを見ている生き物は
微笑みにウソを込め
本気の愛を求めてやまぬ
ズルいヒト
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