語るのも過酷、黙するのも過酷

平和な日本に激動の昭和の世界大戦の語りは確かに重要であります。
けれど、語らなかったことには理由があって、それは自分ごときの若輩者には想像しえぬ葛藤だったのだと思います。
あの戦争はあまりにも常軌を逸していて世界の多くの人々に爪痕を残しました。
広島の原爆ドーム前や資料館を見ましたが、悲惨さが滲み出ていました。
曾祖父様が黙しておられたのはご自身の信念に基づくことだったのかも知れません。
知らない者に語ること。それはご自分の傷と向き合う痛みだったのかも知れません。
ただ、判るのは曾祖父様は貴女様を愛されておられたという事実のみです。
何の慰めにもなってなくてごめんなさい。

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