概要
帝、神器、京、鎌倉、将軍位――その全てを奪われてなお抗うか、足利尊氏
【あらすじ】
観応の擾乱(じょうらん)において、足利尊氏は鎌倉に拠(よ)る弟・直義を討った。だがその代償はあまりにも大きく、尊氏は直義追討の綸旨を得るために、南朝に和睦を申し入れ、三種の神器の返還を余儀なくされていた。
南朝の宰相・北畠親房は、この機を捉えて、尊氏から征夷大将軍の位を取り上げ、代わりに後醍醐天皇の皇子・宗良親王を征夷大将軍とした。
さらに新田義貞の遺児・義興、義宗を上野(こうずけ)にて挙兵させ、そこへ宗良親王、「中先代」北条時行を加わらせ、鎌倉を攻撃。
新田軍は十万にものぼる大軍であり、尊氏は鎌倉を出て決戦を挑むも敗退し、武蔵石浜まで退いた。
そして親房は、その策謀の最終段階として、足利家の命脈を断つべく、京へ攻め入る。首尾よく足利家嫡子・義詮を京から駆逐し、北朝の帝・皇族を
観応の擾乱(じょうらん)において、足利尊氏は鎌倉に拠(よ)る弟・直義を討った。だがその代償はあまりにも大きく、尊氏は直義追討の綸旨を得るために、南朝に和睦を申し入れ、三種の神器の返還を余儀なくされていた。
南朝の宰相・北畠親房は、この機を捉えて、尊氏から征夷大将軍の位を取り上げ、代わりに後醍醐天皇の皇子・宗良親王を征夷大将軍とした。
さらに新田義貞の遺児・義興、義宗を上野(こうずけ)にて挙兵させ、そこへ宗良親王、「中先代」北条時行を加わらせ、鎌倉を攻撃。
新田軍は十万にものぼる大軍であり、尊氏は鎌倉を出て決戦を挑むも敗退し、武蔵石浜まで退いた。
そして親房は、その策謀の最終段階として、足利家の命脈を断つべく、京へ攻め入る。首尾よく足利家嫡子・義詮を京から駆逐し、北朝の帝・皇族を
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!晩年尊氏、いぶし銀の采配を期待!
南北朝時代の主役はなんと言っても尊氏ですが、この物語は尊氏の絶頂期ではなく、王者となった晩年から始まります。
時代は既に次世代に移りつつあり、本来なら引退して激闘の人生を振り返ってもおかしくないところですが、政権のピンチに表舞台に出ざるをえなくなります。
ストーリーは、四谷軒さん独特の神視点で淡々と描かれていきますが、客観的な事実の選択と配置の妙で、尊氏の戸惑いと苦境をリアルに想像させ、映画的な味わいを感じます。
さてもう寿命が尽きようとしている尊氏ですが、これまでの全ての成果を覆しかねない状況で、いぶし銀の采配を見せることができるのか、さらには次世代にどうやってバトンを渡すのか、今後…続きを読む