都市伝説伝 絶滅動物の霊の声

DITinoue(上楽竜文)

絶滅動物の霊の声

 「お~い!早く早く!」

家族で自然史博物館にやってきた、瀬戸大悟が家族をせかす。いろんな動物や

恐竜の標本を見るのに、浮かれている。

「おいおい待てよぉ~。よし、まずは、絶滅動物のコーナーだ!」

父親がはやし立てる。

「僕あんまりよくわかんないから楽しめるかなぁ?」

弟の大輝は、あまり乗り気ではなさそうだ。

そして、博物館に入って早々、講演会に急いだ。

 絶滅動物についての講演会で、マンモスやサーベルタイガーなどの原始人の

時代の生き物から、リョコウバト、ニホンオオカミなど、最近の絶滅動物も

ある。人間が今やっていることのせいで多くの絶滅動物が出たり、その危機にある

生き物がいるという内容を、名誉教授から、しっかりと教えられた。

(ちぇっ。つまんないな。人間のせい人間のせい言ってるけど、生きるためには仕方がないんだから。大体、いまそんなことどうでもいいことじゃん)。

そして、講師の名誉教授から、最後に告げられた。

「講演は以上になります。絶滅動物がこれ以上でないようにしっかりと対策をして

ください。もしやらないと、絶滅動物の霊に襲われますよ~」。

「えっ?絶滅動物の霊??」

絶滅動物にも霊があるんだろうか?大悟は、気になって、教授に聞いてみた。

「えっとね、絶滅動物が出るのは別に仕方がないと言って、そんなことを考えない

40代くらいの男性がいたんだ。ある日、その人は、博物館に来て、絶滅動物の

ニホンオオカミの標本を蹴ったんだ。そうすると、スミロドンや、マンモス、

リョコウバト、そしてニホンオオカミなどいろんな動物の形をした霊が

出てきたんだ。そして、その男性は、二度と姿を現さなかったというよ」。

「そんなのウソだ~!霊なんかあるわけないじゃん!冗談もほどほどにしなよ」。

「う~ん、そうだね。でも、絶滅動物は大事にしてね」。

 大悟は、大輝と一緒に、講演会の会場のホールから出た。絶滅動物の霊を

気にしながらも。まあ、しょせんは言い伝えだろうし。別に絶滅動物が害になった

のが悪いんだから。そんなのも仕方ないだろ。大悟は、そんなことを考えていた。

 

 また別の日。大悟は、1人で博物館を訪れた。霊を確かめるためだ。チケットを

買って、入場して早々、絶滅動物の展示へ急いだ。まあ、人間が正しいんだ。

動物が色々やってくるのが悪いんだ。エイッ!そう思って、大悟は、ドードーと、

ステラーカイギュウの標本を蹴り飛ばした。そこに、

「こらっ!何をしているんだ!」

と係員がやってきた。

「あ、ごめんなさい。霊が出るというのを確かめたかったんです」。

 そして、呆れた係員が立ち去ってからのことだった。

「コノヤロウ・・・」

「えっ??」

「お前ら人間のせいで俺たちは・・・」

大悟がはっとした時には、周りを、いろんな絶滅動物の霊に囲まれていた。

ニホンオオカミ、リョコウバト、サーベルタイガー、ドードー、マンモス、

ニホンカワウソ、タスマニアタイガー、ステラーカイギュウなど、様々な

動物がいた。

「ユルセナイ・・・ユルセナイ・・・ユルセナイ・・・!」

「ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーー!!!!!!」

その時だった。ピカーッ!強い光が光り、大悟も、絶滅動物の霊も、思わず、

目をつむってしまった。そして、目を開けると、何事もなかったように、展示物は、

元通りだった。一瞬、何かが見えた。夏なのに、コートを着ている男・・・。

 だが、効果は確かなようで、大悟は、絶滅動物に対して、大事に、今の生き物を

守ろうとしている。だが、男は何者だったのだろうか。謎は、まだ残っている。

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