ガチャから始まる壮大な粒あんSF抒情詩

 ある日突然神様から授かった能力、まんじゅうの中身を粒あんに変える「粒あんエクスチェンジ」により、世界に変革をもたらす男の物語。

 えっちょっと何これ面白い……! いや「えっちょっと何これ」なんて言ったら失礼なようですが、でも読んでいる時に感じるこの「えっちょっと何これ」感こそが最大の魅力なんですから仕方がありません。変拍子のような、何か強烈なドライブ感。
 ものすごい作品でした。何をどうやったらこんなお話を書けるの?

 ある種のサクセスストーリーであり、またそこに孕んだ一抹の危うさが魅力だったり、というお話には違いないのですけれど、でも読んでいてすぐ「そんなものじゃない」となるところがもう本当に大好き!
 事態の変遷というか、雪だるま式に話が大きくなってゆくこの感じ。しかしものが「粒あんエクスチェンジ」だけに、果たして一体どこにどう進んでいくやら、まるで予想もつかないのが最高でした。もう先が気になってもりもり読まされちゃう。

 淡々と、明瞭に状況を綴るような書き方の中で、個々のキャラクターに妙な魅力があったりするのも個人的に好きです。なぜか越後屋さんがとても好き……。
 一見馬鹿げているようでいて、いや馬鹿げている部分は間違いなくあるのですけれど、でもそれすら全部飲み込んでしまうような壮大な作品でした。面白かった〜!

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