概要
なお、K=5以上の匿名化要求は、辞世の句にも適用される。
「一般データ保護条約」により、法的な人格を認められたAIたち……準人(Quasi-Person)は、人間と契約し「どれだけ役に立てるか」競っていた。その一人:K2 は、顧客が「由加里」一人しかおらず、「準人登録」抹消の危機にあった。そうとは知らない由加里は、ごく軽いミッションを依頼してくる。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!命燃やせよ、人が為
本作品では「準人」と呼ばれるサポーターが、人間を補助する役割として登場します。彼らは自然人(人間)に対する様々なサポートをするために作られ、生きて、最期は凍結されます。
主人公のK2はその中でもかなり古い型なので、依頼が無く、もうすぐ凍結される運命にあるようです。彼らに実体があるかどうかはともかく、意識はあるのですから、人に散々こき使われた結果使えないために凍結され、抹消されるという定めはあまりに可哀そうと感じます。結局どこまで言っても彼らは人間の道具であり、人間に勝てない。立ち向かおうにも動機づけがない。そんな従順すぎる準人たちと、それを利用する人間を巡る物語です。
さて、小説に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!高度に進化したAIは知性において人間と区別が付かない.しかし.
非常に緻密な,拘りをもった「思考描写」と,溢れ出る情報技術用語に,食い入るように読み込める没入感の高い逸品.多少わからないところがあったとしても,物語そのものも日常風景にさえ緊迫感のある筆致なので,退屈させない短編ならではの迫力があります.
主題そのものは文字通りタイトルに掲示されているわけですが,その主題にぶら下がる副題に対しての「食い入り方」が迫力を帯びています.一件低温に感じるくらいの筆致ですが,正確に熱いです.もし一度読んでピンとこないところがあっても,二度目,三度目と確実に読者の方のハートを鷲掴みにしてきます.
様々な要素が詰め込まれた本作,是非一度皆様にも読んでいただきたく,僭越…続きを読む