おじさんよ、人たらしであれ!
- ★★★ Excellent!!!
まずお断りしておくと、私は歳の差カップルのラブコメが大変好きです。
しかも、年齢差がダブルスコアというのが本当の本当にど真ん中。
好きが高じて、自分でも歳の差ダブルスコアの男女が出てくるライトミステリーを出しているほどの熱の入り具合です。
……というわけで、大変すばらしいお話を読ませていただき、土下座でお礼申し上げます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
普段は普通のサラリーマン。副業として人に取り憑く『黒影』を祓う魔法使いをしている主人公の健司は、助けた女子大生・明莉に、弟子&自称恋人として懐かれます。
健司は社会人としては冴えない部類なのですが、魔力は高く、黒影を祓う依頼を押しかけ弟子の明莉とともにこなしていきます。
一回り以上年下の美人JDに好き好きと迫られても、年齢のことや明莉の将来のことなどを考えて、健司は最初のうちはスルーしまくっています。
しかし事件を経て、一生懸命な明莉に健司が惹かれていく様は、年齢差カップル好きとして天にも昇るような展開です。
次々と(明莉にとっての)ライバルキャラが出てきて、ラブコメ的にとても楽しめました。
特に元カノ・麻衣子と健司、明莉が絡むトライアングルのシーンは、王道かつ胸キュン。
麻衣子と健司は決定的に嫌いになって別れたわけではないので、やけぼっくいになってもおかしくないぞ……とドキドキしながら読んでいました。
主人公・健司は何と言うか人たらしで、明莉や元カノ、師匠のルフィーナ、そして読んでいる私まで、自然と彼に惹かれていきます。
明莉を取り合っていた瀬戸までも、最後はなんとなく健司のことを認めていたように思います。
どうしてこんなにも魅力があるのだろう……と読み返していて気づきました。
健司は、自分のことよりも他人のことを考えられる人物なのです。自分が危ないときも。
そして、自分に自信がないゆえに、自分を押し付けてこない。
こんな人と一緒にいたら癒されるだろうなぁーとしみじみ思いました。
また、ヒロインである明莉のキャラにも好感が持てました。
健司が草食系な分、恋愛面では彼女が押せ押せモードなのですが、その一生懸命ぶりは思わず応援したくなる。
そんな気持ちが伝わって、消えかけていた健司の恋愛感情にまさしく『灯り(あかり)』が点いた感じですね。
最後は大団円で本当に良かった。とってもハッピーな読後感でした!!
最後に勝つのは見た目でも能力でもなく、人たらしなおじさんです。
全国のおじさんに幸あれ!!