まず、舞台設定に唸りました。舞台は四国である必要性であり、だからこそもう一つの舞台背景に、ある種の祈りを感じずにはいられませんでした。ゲームは一日一時間。子供だろうが大人だろうが画面とコントローラーを挟めば対等であり、そこにある関係性は儚くも尊いものでした。現代の社会、疲れることばかりで皆大変だと思います。どうか、この小説がそんな人達の「夏休み」となることを。
年齢も性別も歩んでいる人生もまったく別の二人の夏休みが、古いゲームセンターの筐体を挟んで交わる。かつて、ゲームセンターはそういう空間でもあった。ゲームとその体験が既に『古い』ものであることも含めて、凄く『今』を感じさせてくれる作品である。そして彼は、今日も師匠を待ち続ける。それが対人ゲームが持つ、距離感だ。
もっと見る