NOSPR Cond.Marin Alsop Japan Tour 2025 with Hayato Sumino
マリン・オルソップ指揮ポーランド国立放送交響楽団日本ツアー2025 with角野隼斗
19世紀ロマン派の時代に活躍した作曲家として有名なフレデリック・ショパンの生誕の地ポーランドの名門オーケストラとして国際的評価も高いポーランド国立放送交響楽団の日本ツアーが2025年9月11日〜2025年9月25日にかけて全国13ヶ所(東京→富山→大阪→倉敷→横浜→東京→名古屋→所沢→市川→浜松→津→福岡→宮崎)で行われました。指揮者はニューヨーク出身でレナード・バーンスタイン氏や小澤征爾氏に師事し、女性指揮者としての道を切り拓いたマリン・オルソップさん。ピアニストとして全ツアーでショパン;ピアノ協奏曲第2番Op.21を角野隼斗さん、初日のみショパン; ピアノ協奏曲第1番ホ短調Op.11を亀井聖矢さんが共演しました。
ポーランド国立放送交響楽団は1935年にポーランドの大指揮者グジェゴシュ・フィテルベルクによりワルシャワに設立されましたが、第二次世界大戦中ワルシャワの壊滅的な被害の後、活動休止を余儀なくされ、その後、ポーランドの南部の都市カトヴィツェでポーランドの名指揮者ヴィトルド・ロヴィツキにより再結成され、その後数々の名指揮者のもと活動を続けていく中で国際的な評価を得て、世界の主要なコンサートホールでレナード・バーンスタイン、マルタ・アルゲリッチ、プラシド・ドミンゴ、アルトゥール・ルービンシュタインといった有名なアートストと共演し、20世紀ポーランド前衛音楽の台頭に重要な役割を果たしてきました。来日ツアーは2022年9月7日〜2022年9月19日にかけて全国11ヶ所で行われたのが、23年ぶり6度めの公演で、この時もマリン・オルソップさんが指揮者を務め、角野隼斗さんがソリストとして迎えられました。あれから3年ぶりの来日になります。
私は2025年9月21日に市川市文化会館で市川市文化振興財団主催で開館40周年記念も兼ねて行われたコンサートに親友と一緒に行ってきました。オーケストラの生演奏を聴くのは本当に久しぶりで、ポーランド国立放送交響楽団の美しくエレガントな音の響きと角野隼斗さんのピアノ演奏を堪能しました。マリン・オルソップさんの指揮は素晴らしく、アンコール最後の曲では聴衆へ手拍子のアイコンタクトも送ってくれて満員の会場はとても盛り上がりました。
ー曲目及びアンコール曲ー
*バツェヴィチ:弦楽のためのディヴェルティメント
Bacewicz:Divertimento for Strings
グラジナ・バツェヴィチ(Grażyna Bacewicz ;1909–1969)はポーランドの女性作曲家、ヴァイオリニスト。"弦楽のためのディヴェルティメント"は1965年に作曲されました。新古典的なスタイルのうちにも鋭い不協和音やグリッサンドの効果を生かし、活発な動きのうちに1.鮮烈な響きが生み出されていくアレグロ、2.静けさの中にも厳粛で不気味な雰囲気を湛えたアダージョ、3.エネルギッシュなジョコーソのフィナーレ3楽章。マリン・オルソップさんの指揮のもと、ポーランド国立放送交響楽団により弦楽器の緊張と調和が見事に奏でられていました。
*ショパン:ピアノ協奏曲第2番ヘ短調Op.21
Chopin:Piano Concerto No2 in F minor Op.21
フレデリック・ショパン(Frédéric Chopin; 1810-1849)は多くの独奏曲を作曲しましたが、ピアノ協奏曲は2つしか残していません。どちらもショパンがまだ20歳の頃に作曲。ロマン的情感を表現し、ポーランドの国民精神を打ち出した名作です。先に作曲された"ピアノ協奏曲第2番ヘ短調Op.21"はショパンが恋した理想の女性歌手、コンスタンツィア・グワドコフスカへの思いが込め、青春の多感な感情をメランコリックで優美なロマン的憧憬が表現された劇的なモノローグをピアノが奏でる楽曲。角野隼斗さんのピアノの音色はポーランド国立交響楽団に共鳴し、こまやかで息が合った繊細な音色に魅了されました。
※アンコール曲;大猫のワルツ 角野隼斗
*ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op.98
Brahms:Symphony No.4 in E minor Op.98
ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms:1833-1897)はは、ドイツの作曲家、ピアニスト、指揮者。J.S.バッハ(Bach)、ベートーヴェン(Beethoven)と共にドイツ音楽における三大Bと称されています。"交響曲第4番ホ短調 Op.98"はブラームスの交響曲の最後を飾る楽曲で、1884年にウィーン南西の避暑地ミュルツツーシュラークで着手。緻密な書法で論理的に構築し、2年がかりで完成された傑作です。この作品の際立った特徴としてアルカイック(古風)な性格が挙げられますが、それは決して単なる懐古趣味ではなく、意図された古めかしさで、ブラームスのロマン的情感の表現と結びついた表現方法として導入され、その複雑な情感の表出は晩秋期に入ったブラームスの孤独な心境を表しています。マリン・オルソップ指揮ポーランド国立放送交響楽団の演奏は変奏的な技法や対立法的な技法を巧みに駆使した素晴らしい演奏で、楽曲の情感を印象深く演出されていて、音楽の伝統を引き継いできた名門オーケストラの美しさが際立ち、心に深く残りました。
※アンコール曲
1.ドヴォルザーク スラヴ舞曲第1番 Op.46-1
Dvořák Slavonic Dance No.1 Op.46-1
ブラームス(アルベルト.パーロウによる管弦楽編)
2.ハンガリー舞曲 第5番 嬰ヘ短調
Brahms(orch A.Parlow) : Hungarian Dance No.5
なお、この日本ツアーでソリストを務めた角野隼斗さんは2024年10月6日にはポーランド国立放送交響楽団の本拠地、ポーランド、カトヴィツェのNOSPR Concert Hallでもマリン・オルソップ指揮ポーランド国立放送交響楽団との共演を果たしたしています。また、2025年8月16日に放映されたNHK BS 街角ピアノスペシャル〜角野隼斗ポーランドを行くにも出演されて、ポーランドの旅を通してショパンの生家を訪ねたり、ポーランドのピアニスト、ハニャ・ニラさんと即興演奏を披露されたり、ウクライナから避難している団体を訪ね、ピアノ演奏で平和への思いを共有したり、ワルシャワ歴史地区を訪ね、第二次世界大戦でナチス・ドイツの侵攻を受けて破壊されたワルシャワの歴史に触れたり、ワルシャワ市外で音楽家たちが暮らしている老人ホームを訪ね、「戦場のピアニスト」のモデルでもあるウワディスワフ・スピルマン(Wladislaw Szpilman)についても触れ、戦争の悲惨さを垣間見る中での音楽家としての在り方を真剣に語り、日本とポーランドの交流の架け橋として、音楽の素晴らしさを実現していると思いました。
※NOSPR ;Narodowa Orkiestra Symfoniczna Polskiego Radia
(Polish National Radio Symphony Orchestra;ポーランド国立放送交響楽団)
*今回のコンサートのプログラムやNOSPR日本ツアーについてのパンフレット及び2022年の日本ツアーで演奏されたショパン; ピアノ協奏曲第1番ホ短調Op.11のCDカバーの写真をこちらから見れます。
https://kakuyomu.jp/users/endlessletter/news/822139836862591839
世界を巡るシーン 中澤京華 @endlessletter
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