人は苦悩し、向き合い、なお歩く

これはある意味で、一人の男が背負ったものと向き合い、そして見つめ、考える物語なのかもしれない。
じっとりとした温度がある。ずっとずっと揺蕩っているものがある。
それが、ジーンという男の存在かもしれない。それは第一部で彼を見届け、第二部で別の角度から彼を見るからこそかもしれない。
読んでいてずっと、頭の中にその存在があるのだ。

罪とは向き合うべきものか。
犯したものは逃れられぬものか。
歩いてきた道のりがそう問いかけてくるようでもある。
突き刺さって棘のように抜けないものがある。
決して彼が悪辣なはないからこそ、余計に苦しくて涙が出るのかもしれない。

ぜひご一読ください。
きっとあなたは、人間というものを知るでしょう。

その他のおすすめレビュー

千崎 翔鶴さんの他のおすすめレビュー807