そうきたか

 作品の舞台は月、そしてロシア。どちらも好きな自分にとっては、琥珀やらサモワールやらをイメージしながら、楽しく読めました。いずれ現実に起こりそうなテーマがまさにSFっぽくて現実味を増幅させてくれたと思います。

 最後は「そうきたか…」と、思わず考えさせられてしまう展開でした。前半の主人公の葛藤を知っている側の読者としてはやりきれないですが、当事者であれば自分もああいった行動を取るかもしれません。
 まさに“それでも生きて往かざるを得ない”んですね。関わる人間の視点によって、ハッピーエンドの概念がこんなにも変わるのかと思いました。

 あと、主人公がめちゃくちゃ普通の人なのが、自分がとても共感できたところでした。おもしろかったです。

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