紙片の染みを読む

たおやかな孤独、虎狼の心、ゴミ箱に捨てたはずのものが記憶の中には残っているから、ふと拾い上げてしまう。
大切なものとそうでないものとの淡いに漂う言葉が、そっと、日々の喧噪を通り過ぎて手元に届く。そんな感覚。

散文詩は締まりのない戯れ言の羅列に陥りがちだが、ここにそんな緩みはない。その詩文は緊密な思想の糸によって固く結ばれてる。しかし、私たちが空想を巡らすための遊びは残されているようだ。

毎夜こっそりと読むのに向いた、素敵な詩集。