彼らの“いと”が結ぶ、あたたかい結末。

シリーズの締めにふさわしい、深く深く考えさせられる作品でした。どのキャラクターにも愛着が湧いてしまって、読み終わる時がとっても寂しかった!><

たくさんの困難を越え、国が、そしてひとびとが大きく変わろうとしている時代に突入。今まで信じていたものが消え自分達の力で国を盛り上げていこうと奮闘する人々と同じく、少年騎士のカート君もまた成長の時を迎えます。

それは身体的なものだけではなくて、彼の繊細な心もまた。今回は彼の出生にまつわる大きな問題が起こり、そのおかげでカート君は体にも心にも大きな負荷を受けることになります。まわりを愛するが故にとある決断を下そうとする彼は今までと同じく清廉潔白なヒーローでありながら、ひとりの人間としての主張も芽生え、その軋轢に苦しむ姿は今までになく辛いシーンです。

その分頼もしく思えるのが、家族や同僚騎士たち、そして愛しい少女という彼を支えてくれるキャラクターたち。まさかあのキャラクターが!?という再登場もあり、一段と深くなった彼らの絆を見るだけでもファンは涙腺が熱くなってきます(;ω;)

ひとりひとりの心の機微を優しく捉えつつ、今までのシリーズ同様に繊細に練られた物語によって隣国との緊張関係が描かれます。はじめて外の国の様子を知った少年たちに、どんな変化が出るのか――最終作にして新しい見どころが満載なのはさすがです。

主人公のかわかっこいいカート君はもちろんですが、私の推しは先輩騎士のアーノルド!なんて立派な男になったんでしょう……!いじめっ子として登場した最初から好きですが、読み終えた今でもやっぱり彼が大好きです。

ひとりの少年と、ひとつの国の成長物語、堂々のフィナーレでした。

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