彼は、彼らは、ようやくそれを手にする。繋がりし愛の物語。

マリオネットインテグレーターの3部作。
前作から引き続きの物語となる今回は、個人的には「愛」というものの存在が特に目立ったように思う。

愛とは、人それぞれ思いも、表現も、形も違う。それは多様性が取り沙汰される昨今で、改めて考えさせられるテーマでもある。
男性だから。女性だから。血が繋がっていないから。親だから。兄弟だから……そんなものは、数ある関係性の中のただひとつのピースにすぎない。

この物語の彼らを取り巻く環境や境遇。それらは決して平凡なものではなかった。しかし、だからと言ってそれを甘んじて受け入れる事も、諦める事も、彼らはしない。
目の前で起こっていく現実を直視し、複雑に絡まりあった愛の糸を必死に手繰り寄せながら、進んでいくのだ。

進むべき道は決して明るいものばかりではないかもしれない。しかし彼らは進む。
暗闇に差し込む一縷の灯火、それが明るい未来である事を願って。


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