ホラーを全年齢娯楽の枠に落とし込んだ快作!

小説家になろう版の本作も拝読しております。

なろう版とカクヨム版では大筋は同様ですが、細かな差異や途中途中のエピソードがまるごと入れ替わっていたりと、なろう版に目を通した方でも楽しめるような工夫が随所に見られます。

本作の結末も、なろう版とカクヨム版の差異の積み重ねによって導かれた異なるラストになっており、むしろなろう版の本作を一度読んだ方にこそ、カクヨム版の本作もオススメしたいと強く感じました。

本作ではなろう版にくらべ主人公である架城日華の能動性、積極性に若干の上方修正が加えられており、それによってなろう版ではやや傍観者、観察者的な立場であった架城日華の立ち位置が、より自らの判断や決断によって導かれた印象になるよう変更されています。

繰り返しになりますが、もし本作をカクヨム上で読んで興味を持った方は、ぜひなろう版の本作もごご覧になってその差異を楽しまれることを推奨します。まさに一粒で二度美味しい。比喩ではなく実際にそうなっている本作の構造は見事と言わざるを得ません。

さて、本作はジャンルで言えばホラー作品ではありますが、普段ホラーや恐怖系の作品を苦手とする方でも楽しめるように工夫されています。

しかしだからといってホラー要素が薄いかと言えばそんなことは一切無く、豊富な知識と熟練の筆致による重厚なホラー描写を下敷きにして、そこに冒険活劇のような味付けを施した作品となっています。

ぜひぜひ、普段ホラーやスリラー作品を読まないような方にも広く手にとって頂きたい作品です。もしかしたら、今までのホラーや怪異、怪談に対する見方が変わるかも知れません!!

ありがとうございました!!!!



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