第13話

片手におさまるくらいのしあわせでいいの

そんなに多くはいらない


その都度変わる関係も、環境も、全てはもっていけないから

わたしのてのひらにおさまるくらいで

充分しあわせだ


手放せない本があること

やっぱり生き物と暮らしたいこと

いつも散らかった部屋を眺めては、

「片付けにいくよ」と言ってくれる友達のことを思い出すこと

いつかその中のわたしのコレクショングッズを託す約束をしていること

箱から出してないグッズとか割とあるからフリマアプリで売ったらいい

多少は役に立てるだろうさ


30歳までになんたら云々って吹っ掛けてきたのもまだ覚えてるし、それが冗談で叶わないのも知ってる

夢想するにはもう歳を取りすぎた



(仲良くない人に何も教えないめんどくさいやつだからさ、


何かあったらお前にお願いするから

ねえ、葬式には前に言ってたそれを棺桶の中に一緒に入れて燃やして欲しい)



美談になんかなりそうもないねって笑って

そうして思うのは、出会う前のように

知らなかったときのように忘れて

わたしのすきなひとがしあわせにいきるように願い続けること

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

うつくしいひとについて おちば @ochiba_2

現在ギフトを贈ることはできません

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る