とある公園で
かくして、そんな2人はここ数日、毎日の様にこの公園で1日の約半分を費やしている。
高校生で一番楽しい盛りの1週間近くをこの公園で過ごしている事になるのだが……まぁ当の本人達はそんなの関係ない様子だ。
フェリシティは運命の日人と再会でき、更に約束を果たすまではいかないものの、そういう関係になれた事で、喜びと嬉しさは計り知れない。
一方の拓都に関して言えば、今更ながらその現実が身に染みている様で……日が経ち冷静になればなる程、驚きや焦りが大きくなっている様だ。
まぁ自分が憧れ、知っている人も多いであろう女優が隣に居るなんて、到底信じられる事じゃない。
……とは言え、
「ねぇ、もっとさんちゃんのお話聞きたいな」
「えっ?」
「だって、小さい頃のさんちゃんの事は分かるけど、その間……11年間のさんちゃんの事は知らないんだもん。どれだけ時間掛かっても良いから、知りたいよ?」
その天使の様な笑顔を前にすれば、
かっ、可愛すぎだろ!? 画面越しに見てたエンジェルスマイル(勝手に名称)が目の前って、ヤバイヤバイ……鼻血出そう。
「さんちゃん?」
「えっ? あっ、おう」
あっと言う間にデレデレ。
こんなやり取りも、こんな会話も1週間経てば多少の飽きは出て来そうなものだ。
むしろ午後という気温が上がる時間帯にわざわざ公園で話をするなんて到底出来る所業じゃない。
しかしながら2人は飽きるどころか……
「じゃっ、じゃあ今度はフェリシティの事聞かせてくれよ」
「えっ? 私?」
「当たり前だろ? 俺だって知りたいんだぞ? フェリシティの事」
「ほっ、本当?」
「当然。俺だって11年間のフェリシティの事は分からないんだぞ?」
「そう……だよね? うん! 私なんかで良かったら全然」
「いや、フェリシティだからだろ?」
「さっ……さんちゃん……」
ますますその熱々っぷりには拍車が掛かかっている。
午前中はメッセージのやり取り、午後は公園でイチャイチャ。夜はまたメッセージのやり取りに時々電話。
傍から見れば、すぐに別れるバカップルの典型なのだが……どういう訳か、2人からそんな気配は感じられない。
「あぁ、それこそ隅から隅まで……」
「すっ、隅から隅まで!? うぅ……はっ、恥ずかしい……」
「ばっ、ばか! 何変な事考えて……」
「ふぇっ!? へへへっ、変な事って!? あっ、でもさんちゃんなら全然……」
「って、違うだろ。何勘違いしてるんだよ!」
言動や行動はまさに先述した
それこそ、こんな毎日が永遠に続く様な……そんな気がしてならない。
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