賢者とは何か? 予定調和の無い美学

賢者と聞いて皆様はどんなイメージが頭に浮かびますか?

石、孫、タイム(不応期って言うんですね)

ちなみに架空の職業として定義されているみたいですが、英語的にはsageやwise manと訳されます。

sage?
つまりダウナー系の陰キャを表している?(表してません)

賢者の考察はさておき、物語は、賢者の称号を得た少年が、スローライフを求め逃げ回るという紀行文になっております。
似て非なる地名や名産が随所に現れ、コロナ渦で閉塞感漂う世界の中で、疑似的な旅と冒険を味わえます。

そんなほのぼのとした序盤から、続く旅の中で物語は様々な変化を重ねます。

作者様の豊富な知識と見識、その慈愛に満ちた思考は、本作以外の作品やコメントからも伺うことができますが、この物語に於いて、そこから類推する予想は悉く覆されます。

どれだけの引き出しをお持ちなのか、現在第五部が始まり、どんな展開に至るのか更新が待ち遠しいのです。

さて、「人生に於ける賢者タイム」について愚考したいと思います。

そもそも、賢者タイムの対義語は「愚者タイム」などと言われることが多いですが、私は、リビドーの反語と感じるのです。
そしてリビドーは中二病の燃料。
つまり賢者タイムから中二的な創作は生まれ難い(暴論)

それなりに生きているとですね、枯れてくるのです。
落ち着きを得る代わりに、パトスがしょんぼりしてくるのです。

でも、本作を読むことで湧き上がる、純粋な楽しいという気持ちは「そっか、まだこれからッスよね!」と不思議な力を与えてくれる。
それは子供の頃読んだ冒険物語と同じ昂揚感。

本作は、そんな「人生の賢者タイム」に堕ちた読者に贈る応援歌ではないだろうかと思えて仕方がないのです。

だって、あの頃求めた夢がこんなに詰まってる。

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