第4話
「雨、やみませんねお兄ちゃん」
桜は雨が降っている外の景色をみてそう呟いた
「あぁ、梅雨だからな」
「梅雨はじとじとして嫌です、私の髪、傷みやすいからこの時期から夏の終わりまでショートに切ってしまいます」
「ほう、そういえばもうすぐ夏だな」
「夏ですね、お兄ちゃんは夏休みどこかいかれる予定とかお友だちと一緒に旅行とかいかれるんですか?」
と聞いてきた。
確か三沢は夏休みの初日から半ばにかけて沖縄にいくとか言ってたし
高梨先生も8月いっぱいは海水浴をしにサイパンへいくって聞いたし、
「う~ん、今のところ予定とかないな、てか急にどうした?夏休み、いきたいところがあるのか?」
「お兄ちゃんと海に行きたいです」
海か、夏っぽくていいな!
「海?ちょっと遠いけど久しぶりにいってみようかな、だったら萌と薫にも!」
「だめです!私はお兄ちゃんと二人っきりで海へ出かけて夏の思い出を作りたいんです!ですから萌ちゃんと薫さんにはこの事を伝えないでください!」
と桜は強く言った
翌日、俺はすこし遠くにあるショッピングモールに桜と共に来ていた。
「だからどこにこんな兄と一緒に自分の水着を買いに来る妹がいるんだよ」
「お兄ちゃん、『水着』ではなく『ビキニ』です」
「どっちもおんなじじゃねーか……」
「違います!『水着』は露出があまりなく生地が多いやつです!そして『ビキニ』は生地が少なく、セクシーに見え、男性の心をわしづかみにすることができるやつです!ちなみにお兄ちゃんは水着とビキニどっち派ですか?」
正直どっちでもいい。
俺はなんか誤解されそうな言い方で
「スク水がいい」
と答えた。
桜はビキニと普通の水着、それになぜかスク水の3着を買った。
「これでお兄ちゃんの心もわしづかみです!」
すこし荒い息をたて颯爽と桜は家路を歩いていった。
「ただいまぁ」
俺が家の玄関を開けるとそこには学校指定の水着を着た萌がいた
「あ!兄貴、桜ねーちゃんお帰りなさい!あのねあのね、今度の週末海いこ!海いこ!」
「海?まだそんなに暑くないだろ?」
「今度の土日、なんかすごく暑くなるらしいよ?だから薫ねーちゃんと相談して海いこうって言ったら薫ねーちゃんのお友だちから電話きて来週海行きませんか?ってお誘いがきたんだ!どう兄貴、兄貴と桜ねーちゃんも海いこうよ!海!」
にこにこして笑いながら言う萌をみて桜はすごく小さな音で舌打ちをした
こうして俺と萌、桜、薫の四人は今度の週末、薫の友達に誘われ海にいくことになった。
こういうのってもう少し暑くなってからいくのが正しいと思うけどなぁ~……
薫の友達に誘われて俺たちは海に来た
「よー五六君!まさか君がかおるんと来るなんて、かおるんが君の妹になったのは迷信じゃなかったんだね」
薫の友達の晴美がいった。
「迷信だと思ってるなら迷信だと思ってくれ」
とそこへ桜がきて
「夏といえば合宿!そうですよねお兄ちゃん!」
と目を輝かせて言った
「合宿って、たしかに今日は親父の知り合いが経営しているホテルへ泊まるけど合宿じゃないからな」
「では早速この番号にかかれてる部屋で着替えてね、もし人が入ってる場合はチャイムをならすとすぐに着替えて場所を貸してくれるから安心してね!じゃあ解散」
と晴美が部屋の鍵を桜、萌、薫に渡し更衣室に入っていった。
「おい、俺の着替える部屋の鍵は?」
「あー!忘れてた、はい、五六君はこれね」
といい俺にも部屋鍵をわたした
どれどれ、俺の部屋は……069号室か……
069…069……あった、たぶん男は俺だけだから一人部屋なんだろうな……
俺は069号室の扉の前にきた。
鍵がかかっている、多分誰かが着替えているんだろう俺はチャイムを鳴らした。
「はーい着替えですね~、私だんだん終わるので一緒に着替えましょう」
ガチャリと扉があいた。
そこには……薫がいた。
しかも全裸
「あ………ど、ども」
「きぃやぁぁぁぁぁ出てってぇぇ」
スコーン!
俺は追い出された。
てかなんで俺、女子のところにいるんだ?
更衣室を追い出され俺はトイレで着替えることにした。
更衣室を出るとクスクスと笑いをこらえる声が聞こえた。
「おい、お前だろ晴美、薫とおんなじ更衣室の鍵を渡したの」
「プー!おかしぃ、050からは女子の更衣室専用だって知らずに入っていくなんて!傑作」
「てかなんでお前が薫の更衣室の鍵のスペアもってんだ」
「前来たときその部屋だけ余分にスペア作られてて運営さんが要らないっていってたから貰ったんだ」
「たく、お前は学校でもそういういたずら好きだよな」
「いたずらは最高だぜ!五六君も女子にいたずらしてみたら?まずは学校の女子トイレに潜んでおどかすとか!」
「そっこー理事長室への直行便チケットが渡されるわ!」
はぁ、また薫に謝らなきゃいけないじゃん……もう、なんでこういう展開妹に起きないんだよ!
しばらくすると桜、萌、薫が着替えてきた。
萌はこの間着ていた学校指定の水着で薫は花柄の水着で桜は…………
「白い空に青い雲!実に美しい!まるで私みたい!ところでお兄ちゃん!私の水着姿どうです?エッチぃでしょ!」
「桜、逆な……白い空に青い雲なんてあってたまるか、それとその水着、この間は買ってなかったじゃねーか」
桜の着ている水着は水着自体にお花を盛り付けたような立体的なフラワーモチーフビキニだった。
「この水着、あのあと帰ってきて通販サイト『MISISIPPI』で買ったんです、お値段なんと3000円!かわいいでしょ?」
「かわいいでしょ?じゃねーよ!ビキニとスク水と普通の水着だけで5000したのに着ないとかバカなのか?」
と言うと桜は顔をトロンとして
「冗談きついですねお兄ちゃん!あれは普段着として着るんですよぉ、お兄ちゃんとイチャイチャするための」
「どこに兄とスク水でいちゃつく妹がいるんだ!いてたまるか!」
そんな話をしていると晴美が笑いながらきた。
「仲いい兄妹だね、でもそろそろ泳ごうか、萌ちゃん早く泳ぎたいっていってるし」
俺たちはちゃんと準備体操をしてパラソルとレジャーシートを張り準備バッチリ。
すると萌が日焼け止めをもって近づいてきた。
「兄貴!日焼け止め塗って!」
「おぉ!いいぞ」
俺は手にたっぷり日焼け止めを塗り萌の背中に塗っていく
「ロリっ子の背中に容赦なくベタベタとローションを塗るなんてお兄ちゃんの変態……」
すこし興奮して桜は言った
「変態ブラコン妹にいわれたくねーよ!」
俺が萌の背中に日焼け止めを塗っているとちょんちょんと俺の背中を触り呼ぶ声が聞こえた。呼ぶ声の主は薫だった
「あのね、お兄さん、萌ちゃんが終わったら私にも塗ってくれる?」
すこし恥ずかしそうに言った。
「あ、あぁいいぞ、塗ってやる」
「じゃあ、私も塗ってもらおうかな?五六君、今日は女の子の素肌にさわれる特別な日だね!」
と面白半分に笑い晴美は言った。
「さて、これで全員日焼け止めを塗り終えたか」
「じゃあお兄ちゃん、恒例のあれ言っちゃう?」
「あれって?」
「ラノベとかアニメでよくまれにみる海に向かって『海だぁ~!』って叫ぶやつ」
「おぉ!あれか、やってみたかったんだよな、萌、薫、晴美、一緒に『海だぁ~!』って叫ぶか?」
「うん!いいよ兄貴!」
「お兄さんがいいなら私もやります!」
「あれかぁ!意味あんまりわかんないけどやってみたくなるよねぇ」
全員一致で海に向かって『海だぁ!』と叫ぶことにした。
大勢の人がいるのに叫べる勇気、君はあるか?
俺たちは一列にならんだ。
左から
萌、薫、晴美、俺、桜
の順だ。
俺たちは思い切り息を吸い込み、
その瞬間
「「「「「海だぁ~!」」」」」
遠くに建ててある海の家にいるおっちゃんの耳の中まで聞こえる声で叫んだ。
「………最高だな」
「そうですねお兄ちゃん」
「声かれそうだっだよ!兄貴!」
「やっぱり恥ずかしい……」
「いい声だったぜ五六君!」
それぞれの感想を言う俺達。
すると監視委員のお兄さんが俺達のところへきて
「あの、そのような行為は別の海水浴にきたお客様たちに迷惑ですので控えてください」
と注意された。
なんでだめなんだろう
バナナボートや遠泳、ビーチバレーを楽しんだ俺たちは夕方まで遊び呆けていた。
「すっかり暗くなったな」
一番星を見て俺は言った。
「よーし!私は帰るよ、楽しかったぜ五六君!」
「おう、また学校でな、おやすみ」
晴美はこの近くに住んでいてすぐに帰れるらしいから今回は帰るらしい。
一方、電車に揺られ一時間半と駅前でバスを乗り継がないと帰れない俺たちは海の近くにあるホテルへと足を運んだ
親父の知り合いが運営してるホテルはロビーが広くそこだけで一日中遊べるくらいゆったりしていた。
「あ!兄貴兄貴!あそこにゲームセンターがあるよ!」
「あ!卓球台がありますよ!お兄さん」
とはしゃぐ萌と薫
「よし、親父がとってくれた部屋にいくぞ、荷物おいてから遊ぶ!」
「「はーい!」」
俺たちは部屋へと移動する。
移動中に俺の後ろでぶつぶつと桜が
「お兄ちゃんと混浴、お兄ちゃんと混浴、お兄ちゃんとイチャイチャ……むふふ」
と気持ち悪い声でにやけていた。
「「「「おぉー!」」」」」
俺たちは親父がとってくれた部屋へ移動した。
部屋はロビーとはかわって和風だった
「ロビーがあんなにきれいだったのに部屋は和風なんだな」
「海が近いからもっとすごく窓が大きいのかと思いましたよ」
とカーテンを明け窓の外を覗く桜
「……という訳でお兄ちゃん、早速混浴いきま──」
「行かねぇよ、お前らの部屋はここだけど俺の部屋は別なんだよ」
「でも兄貴の部屋番号もこことおんなじたったよ?」
と萌が言った。
「は?」
俺は部屋の鍵とロビーから渡された部屋一覧を見た。
マジだ、俺も#妹__こいつら__#と一緒の部屋だ、通りで広いと思ったよ……
俺たちは温泉に入り(混浴ではない)ロビーにあったゲームセンターと卓球台にきた。
「お兄ちゃんと混浴できなくて残念です……はぁ」
と、とぼとぼ歩く桜
「混浴なんて二度としない」
「でもこの間は一緒に入ってくれたじゃないですか?しかも私のおっぱいもさわったし」
そういうと顔を真っ赤にして薫が話に突っ込んできた
「さ、桜ちゃんのお、おっぱいさわったってほ、ほんとなの!ごろ……お兄さん!」
「う……ほ、本当だ……」
俺はほほを赤らめていった
「うぅ、お兄さんの変態」
「あ、あれは桜がさわっていいよっていってきたからさわっただけで!」
あわてて訂正する。
「でもさわったんでしょ!変態!最低!桜ちゃんも、この汚らわしいお兄さんになにかいってあげて!」
薫がそういうと桜は
「私のおっぱいなら、好きなときに好きなだけ生でさわっていいですよ……」
と言った。俺は今後もさわろうと心に誓った
そんな話をしていると萌が
「早くゲームやりたい~!あそこにかわいいぬいぐるみがあるから取りたいよぉ兄貴~」
と駄々をこね始めたため俺たちはゲームコーナーで解散した。
「萌は何のぬいぐるみとってほしいんだ?」
「あ、あれ!『ひぐまのファーさん』のぬいぐるみ!あれとって!」
萌が指差して欲しがったのはくまのキャラクターのぬいぐるみだった
「ファーさんか!いいぞ、こうみえて俺、得意だから」
俺はそういってユーフォーキャッチャーにお金をいれた。
テレレンと音楽が鳴り響きアームが動かせるようになった
「こういうのは、頭を狙った方がいいんだよな!それ!」
アームは見事にファーさんの頭をつかんだ
「おぉ!さすが兄貴!このままあの穴につけば取れるね!」
目を輝かせて萌は言った。
アームはそのまま出口の方に頭を持ちながらたどり着き、見事にファーさんのぬいぐるみを手にいれた。
「かんわいい~!ありがとう兄貴!」
かわいく微笑む萌の方がかんわいい~と思った。
俺と萌は桜と薫がいまどこにいるのか探しに行った。
薫は格闘ゲームをやっており周りには人だかりができていた
一方、桜はゲームコーナーを抜け出し卓球台にいた
「なんだ、桜はゲームじゃなくて卓球してたのか!」
「そうですお兄ちゃん、どうです?浴衣がはだけておっぱいに汗が滴ってますよ?えろいでしょ?」
「ばか……そんな言葉ここでいうな、注目されるし萌もみて……って萌?」
俺は萌を見ると萌は自分の胸と桜の胸を交互にみて桜を睨んでいた
「どうした?萌?」
「桜ねーちゃんはなんでおっぱい大きいの?」
突然萌はそんなことを言い出した。
「なんで私のおっぱいが大きいのか?それはお兄ちゃんとお風呂にはいると自然と大きくなるのです!わかりましたか萌ちゃん、女の人は男の人と混浴すると萌ちゃんみたいなひんぬーでも次第に大きくなるのです!まぁ、諸説ありますが」
と嘘を教える桜。
「諸説どころかそんな説ねーよ!あったとしてもカルシウムとか栄養たくさんとることだよ!」
そんなことをいい俺は部屋へと戻った。
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