第3話

休日の朝、俺は萌の声で目覚めた。

「おはよー兄貴!今日は学校お休みだからどっか出掛けようよ!」

「出掛ける?桜と薫は?」

半分寝ぼけて俺は言った

「桜ねーちゃんは薫ねーちゃんの買い物で夜まで帰ってこないよ?」

「そういえば言ってたな、付き添いとして親父が車出すって」

「だから夜まで私たち二人っきりだよ兄貴」

といいにんまりと悪そうな顔をして笑った。


こいつ、会ってからずっと俺のところをみてにんまりするけどなんだ?癖かな?



「萌はどこへいきたいんだ?」

俺は萌に聞くとすこし考えたのち

「う~ん、あ!私ヒーローショー観たい!近くの遊園地でやってるんだ!」

といいチラシを俺に見せた。

「ヒーローショー?魔法少女みたいなのじゃなくて?」

「うん!私そういうの嫌いなの、だって魔法なんてこの世界にあるわけないじゃん」

と呆れた顔で言った


あ、はい、そうですね。


というか魔法なんてないとか言ってるけど普通の人間がヒーローに変身するのも魔法みたいなもんなんだけどな……



俺の家から近い遊園地は家から歩いて20分の所にある。


「久しぶりだな『キャピキャピ王国』、小さい頃に二回ぐらい行って以来来てなかったな」


大きな門をくぐり抜けた所にはその遊園地最大の観覧車がゆっくりと動いていた。


観覧車の隣にはすごく角度があるジェットコースターがあり今も乗ってる人の悲鳴が聞こえる。


休日でもある今日は一段と人が多く待ち時間が一時間のところがちらほら見えていた。


「ところでそのヒーローショーってのはどこでやるんだ?」

「う~んと、あ!あの特設ステージでやるっぽいよ兄貴!」

と目を輝かせて萌は俺の手を引っ張った。



俺と萌はショーが始まるまで特設ステージで待つことにして近くにあった屋台でコーラとオレンジジュースを買って席へ座った。


とその時

「あれ?そこにいるのって五六君?」

後ろから声が聞こえた。

俺と萌は後ろを振り向くとそこには俺の高校の先輩の小野寺真希先輩がいた。

「先輩!なんでここに!」

「そりゃ、ここはうちの経営する遊園地だから、というか五六君?あんたいつからロリコンになったの?」

と哀れみの表情で言った。

「ちちち、違いますよ先輩!この子は俺の義妹ですよ!」

あわてて俺は言った。

「そんなに慌てなくてもいいよ、五六君はそんなことしないってわかってるから、そうかい、君の妹かい……はて、君に妹なんていたっけ?」

と眉間にシワを寄せ悩んでいたが;まあ、いいか;といいあっさり話を消された


「あの、真希ねーちゃんは兄貴の彼女なの?」


<<ブッッッ!>>


俺と先輩は萌の質問に同時に飲んでいたコーラとカフェオーレを吐き出した


「ば!なにいってんだ萌!」

と俺は萌の口を封じて

「あっはははは、冗談きつい妹さんだねぇ!こりゃ傑作」

と先輩は大笑いしている。


「五六の彼女かぁ、いいねぇ、でも五六は妹にしか興味がなくてあの薫ちゃんを妹にしたんだろう?」

「なんで知って!」

「そりゃもちろん、高等部には薫ちゃんが好きな男子どもがいっぱいいるからねぇ」


そんなに人気なのかよ薫!


「この間も私のクラスの男子どもが『薫たそがあのブ男の五六の家から朝帰りしたってほんとなのかよ!くぅ~羨ま……憎々しい!』って唸ってたよ」


なんかとんでもないことになってるな、薫が俺の妹になるって言い出してから……


おれ、これから高等部の男子たちに敵意されるのかなぁ?


その後、萌と遊園地のアトラクションを閉園まで遊びまくり帰宅したのが六時半になってしまい、家にはもうすでに桜と薫が帰ってきていた。


玄関を開けると桜がバスタオル一枚で玄関に繋がる廊下を歩いてきた。


「お前、なんつー格好してるんだ?」

「お帰りなさいお兄ちゃん、是非私と一緒にお風呂に入りませんか?」

「急にどうしたんだ?てか早く着替えろ、風邪引くだろ?」

俺がそういうと桜は顔をポッと赤らめて

「こんな姿の私を優しく心配してくれるお兄ちゃん……好き!」

と言った。

「だからなにいってるんだ?お前、もしかして性癖が露出狂ぐらいなのか?」

「いえ、私はただ単にお兄ちゃんとお風呂へ入りたいと思っているだけです、ささ、お湯が冷めないうちに是非私とお風呂へ」

桜がそういうと萌は

「あー!桜ねーちゃんだけずるい!萌も兄貴と一緒にお風呂入る!」

といい服を脱ぎ始めた

「ちょ!萌、せめてお風呂場で脱げ」

完全に裸になった萌に俺は来ていたパーカーを被せた。

「それにしても桜ねーちゃんのおっぱいおっきー!ねぇねぇ、揉ませて!」

と萌はいい桜の胸に抱きついた。

「私のおっぱいは大きいよ萌ちゃん、あ、お兄ちゃんも私のおっぱい揉みますか?生で」

「揉むか!」

俺は全力で断った。



そのあと俺は全力で桜と萌に服を着させた。


「ふぅ、疲れたけどやっぱり風呂が一番いいなぁ~」


一番風呂、それは人間に最高で最強の癒しをくれる儀式。


「桜と萌が妹になって俺の人生最高だなぁ~二人ともかわいいし」


などと独り言をしていると


<カラカラ>

とお風呂場の扉が開くおとが聞こえた


─ん?桜のやつ、まだ諦めてなかったのか?仕方がないやつだな


俺は桜が入ってきた瞬間抱きつこうとした。


<ガララ>

とお風呂の扉が開いた瞬間


「桜!大好きだよぉ~~!」


といいまるで計算したかのように胸に抱きついた。


「やっぱり桜のおっぱい柔らか……」


俺が見上げるとそこにいたのは………




薫だった。




俺たちは数秒間硬直状態となり……


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


といった奇声をあげた



「なな、なんでごろー君がお風呂に!桜ちゃんと後で入るのかと!」

と顔を真っ赤にして動揺しながら薫は言った。

「こ、これはこっちの台詞だ、お、お前こそ萌と入るんじゃないのか!」

おれは湯船に体育座りをして背中を向け話した。



こういうハプニング、妹がよかったのに


また誤解される……


その後、俺と薫は目を合わせるたび顔が真っ赤になった。


蛇足だが、俺と薫が一緒に風呂に入ってることが桜の耳にも入り桜はずっと拗ねていた。


「今日もおじさんのご飯、美味しかったね兄貴!」

と萌が言った。

「たしかに親父の飯はうまいよな、さすが元有名レストランの店主だ」

「えぇ、おじさんってレストランの店主だったの?」

「おう、でも俺が生まれてからすぐ、俺のおふくろが亡くなった時をきっかけに店主やめちゃったんだけどな……」

「そうだったんだ、私も小さいときにお母さんとお父さんが死んじって毎日泣いてたんだ、そのとき助けてくれたのが私がきたときにいた叔父さんだよ」

しんみりする萌、そういえばこいつ孤児だったんだっけ?

「さ、さぁ萌、お風呂にはいる前に一緒にお兄ちゃんと遊ばないか?」

空気を変えるために話題を降った。

「うん!なにして遊ぶ?」

「そうだなぁ………」


それから小一時間ほど萌と遊んでいると突然俺の部屋の外からノックしてきた

「はーい、あ、桜、お風呂上がったのか?」

「はい、いいお湯だったよお兄ちゃん、私はずっとお風呂でお兄ちゃんが入ってくるのを全裸で待ってたのに来なかったですけどね」

とすこしへこんだ顔で言った。

「もう二度と女と風呂に入らん!」

この間の薫の事件で混浴がトラウマになった。

「ところでなんだ?お風呂に入れってきたのか?」

「いいえ、えっと……お兄ちゃん、わ、私と付き合ってくれませんか?」


おれは桜から二度目の告白をされた

「だからおれは妹好きだけど恋愛対象としてみてないって」

そういうと桜はきょとんとした

「別にもうその話は終わりましたしお兄ちゃんは『右手が恋人』ということがわかりました……というかお兄ちゃん、勘違いしてませんか?私はただ明日の放課後、買い物に付き合ってほしいって言っただけですが?」

「主語をつけろよ!で、明日何を買うんだ?服か?化粧水か?それともお兄ちゃんにプレゼントか?ありがたい受け取ろう」

「服でも化粧水でもお兄ちゃんへのプレゼントでもありません、いや、お兄ちゃんへのプレゼントは私とお風呂に入ってくれたらあげるかもしれません……私がほしいのはそう!エッチい下着です」

「自分の下着を買いに兄をつれていく妹がいるか!しかもエッチいとか!」


おれは目を見開いて突っ込みをいれた。


「エッチい下着ならお兄ちゃんも一緒にお風呂に入ってくれるかもしれないと思って昨日、薫さんに相談に乗ってもらったのですが薫さん、顔を真っ赤にして布団に潜ってしまいました」


俺の年が近い妹はどれだけブラコンなんだよ、いつまでお兄ちゃんと風呂に入りたいんだよ……


「エッチい下着を買うほど俺と風呂に入りたいのか?……仕方ねぇな、混浴は怖いけど桜、一緒に風呂にはいるぞ!」

といい俺の部屋に萌を置き去りにしたままおれは桜と風呂場へと向かった。



風呂場、

俺と桜はどちらも下着姿になった。

「お兄ちゃん、昨日薫さんに聞いたのですが私の名前を叫びながら薫さんのおっぱいを大胆かつ大雑把にさわったらしいですか……」

「し、仕方ないだろ!桜が来ると思ってスタンバってたんだから!……そ、そんなことより早くお前、ブラ脱げよ……お前が全裸になったら俺もパンツ脱ぐから」

と俺は下着姿の桜に言った。

「自分から脱がさせるなんてとんだ変態さんですね、特別に私のブラのホックをはずしてあげましょう」

と棒読みで言った。

「なんで俺がお前のブラのホックをはずさなきゃいけないんだよ!男が女の子のブラをはずしていいのは(全略)」


何だかんだあって俺と桜は背中を合わせ狭い湯船に浸かった。


「まさかお兄ちゃん、かわいい私が体を洗っているとき壁とお話ししてるとは、それは何て言う趣味ですか?」

「いや、趣味じゃねーよ!女の子がからだ洗ってるときに凝視するやつなんてどこにいんだよ!」

「それが例え妹だとしても?」

「お前は妹だけど義理の妹だからダメなの!犯罪になるの!」

そういうと桜はすこし笑い

「じゃあ、昨日薫さんにやったのは犯罪ですか?確か私たちが通ってる学校の高等部には薫さんのファンがいっぱいいるとか……私、明日お兄ちゃんのクラスにお兄ちゃんが薫さんのむっちりおっぱいをさわったことと混浴したことを言いふらしましょうかね?」

にやにやと笑い言った。

「新たないじめか!やめろ!あれは事故だ!」

俺は思い出して震え始めた。

「だったら私と向かい合って私のおっぱいを揉んでくれたらこの話は言いふらしませんよ」


こいつ、俺より変態だろ……


小悪魔、


おれは恥ずかしながら正面を向いた。


そこには昨日の薫とは違う大きくてたわわに実った巨乳という新しい果実があった。


「私のおっぱいを好きなようにしていいですよ、お兄ちゃん」


うう、神様、俺を許してくれ……



おれは両手で中2の義妹のおっぱいを力一杯揉んだ。


柔らかい。


おっぱい事件から3日後の昼休み俺と薫は今まで通り会話をしていた。

「この間はごめん、なんか俺もそのとき変なテンションで……」

「あれはもう過ぎたことだから許すよお兄さん」

「ほんとうか!よかった!俺、昔から同級生に嫌われるの好きじゃなくて」

「私は許すけど、2、3年生の先輩方は許さないと思うよ?」


げ!2、3年生の先輩ってまさか!


「ね、ねぇ、この高等部でおっぱい事件知ってる人ってどれぐらいいるんだ?」

ちょっと冷や汗をかきながらおれは聞いた。

「ん~、ざっと85人ぐらい?」

「半数どころかほとんどじゃねーか!」

食べていた卵焼きを口から出しまくり俺は言った。

「汚いです、お兄さん」

「というかなんでそんなの高等部にしれわたってんだよ!」

「確か、桜ちゃんが言いふらしたとか小耳にはさんだよ?」

「帰ったらあいつ許さない!ぜってーこきつかってやるよ!大泣きするほどな!」

「むしろ大喜びしそうなんだけど……ところでお兄さん、あの、この間って萌ちゃんとお出掛けしたんでしょ?」

と弁当を食べる手を止め聞いてきた。

「ん?あ、『キャピキャピ王国』にいってきたけどそれが?」

「……萌ちゃんとデートするなら、わ、私ともデートできるよね!」

薫は顔を真っ赤にして俺に言った

「は?デート?なんだおまえ、俺と出掛けたいのか?」

そう聞くとコクンとうなずいた。

「出掛けたいのか、そうか、どこにでかけたいんだ?」


「映画館………今、面白い映画がやってるって」

「映画か、いいぞ、つれてってやる!」


こうしておれは薫を映画館につれていく約束をした。



そして放課後、俺たち二人は映画館へと来ていた。

「ここでその面白い映画がやってるのか?」


『ビックシアター』

ここは俺たちが通ってる学校から近く、夕方ぐらいになると学生が多く入る映画館でそれにちなんだ青春、学園もの、恋愛映画が公開されている。


「見たい映画あったか?」

「うんこの映画」

薫は青春ラブコメの映画を選んだ。


俺たちはポップコーンをかい上映する場所に行き映画が始まるのをまった。


2時間後、映画はおわり、俺たちは映画館を後にした。


「いい映画だったな薫」

「そうですね、でもお兄さん、途中から寝てましたよね?」

ジト目で聞いてきた

「あ、バレてた!?」

「そりゃ隣で小さなイビキかいてましたから」

うそだろ、イビキかいてねてたのかよ、恥ずかしい……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る