ある日突然、妹ができて俺は毎日愛でてます

カプチ

第1話

『お兄ちゃんもう朝だよ? 今日は葉菜を幼稚園に送ってくれるんでしょ?』


≪妹の声で目が覚めた僕は自分の上にのってかわいい顔をしている妹に優しく微笑んだ≫


『おはようマイエンジェル、今日もかわいいね』


≪僕はそういって葉菜を自分の布団に寝かせて添い寝させた、≫


『葉菜、いい香り、すーはー』





…………そんな変な描写が永遠に続くゲーム画面を俺、笹倉五六(いつむ)は死んだ魚の目をしながら見ていた。


正直、妹というのは選ばれしものにしか与えられてない最高の家族だと俺は思う。


俺は生まれてから16年間、妹や弟、それに妹などに恵まれなかった一人っ子でつまらない人生を送ってきた。


年下の女の子がいるのが最高だと思ったのは中2の頃で、その時は1年の小さくてかわいい子がいつも俺に甘えてくれていたしなついてくれていた。


たぶんそこから俺は年が近い女の子がほしいと思ったのだろう。


年が近い女の子がほしいというとみんな『お前がそんな趣味あったのか』とか『ロリコンだったのね!五六君!最低!性犯罪者!近寄らないで!』とか苦い思いでしかない。


年が近い女の子といっても奇跡的に自分が生まれて三年ぐらいで妹ができたらそれはそれでもう年が近い女の子と計算してもいいのではないだろうか?


小学生の時の、性の勉強を教わったある日、俺は思いきって両親に

「妹がほしいから(自主規制)して!」

と言ったところ思い切りぶん殴られた。



………それにしても暇すぎる。


親父はなんか急用があるといって出掛けてしまった。


暇すぎて俺は本棚からライトノベルを取り出しベッドに横になり本のページをパラパラとめくる。






…………いつの間にか寝落ちしてしまってたらしい。


俺は近くにあったライトノベルをもう一度読み直そうとベッドから本を探す。


だが、見つからない。


とその時、人の肌の感触が俺の手から脳へと感じた。


─なんだ?おふくろか?それとも親父か?


寝ぼけててわからないが俺の体の上にだれかが乗っている気がした。


目を覚ますと俺の体の上には小さくてかわいい小学生ぐらいの女の子が乗っていてラノベを読んでいた。


「な!だ、誰だお前は!」

ギョッとする俺の顔をみてその女の子は気付きこちらを見てはにかんだ

「おはよう!兄貴」


その女の子はそういうと俺の体から降りてラノベの表紙を見せてきた。


「兄貴ってこんなの読むんだぁ~、えっとこの漢字は『妹』?……へぇ、兄貴、妹が好きなんだ!シスコンだなぁ~にひひ」


完全に目が覚めた俺は思った。


──そうだ、これは夢だ、間違いない。俺にはこんなにかわいい妹なんていない!


そう思い自分のほっぺたを思い切りつねった。


「痛い!痛すぎる!」

それをみていた女の子は俺に

「確かにこの表紙の絵は痛々しいよねぇ!だって主人公っぽい女の子の後ろで変な格好でポーズとってるんだもの!」


──違う、それじゃない、ほっぺただよ。というかいたいなら夢じゃないんだな、だったらなんでここに女の子が?



「なぁ、お前なんで俺んちにいるんだ?」

俺はそういうと女の子は八重歯を見せて言った。

「あ!そうだった、おじさんから新しい兄貴に挨拶してこいって言われたんだっけ?んっんん、私の名前は笹倉萌、今日から兄貴の妹になりました!」



──は?今日から俺の妹?この子が?




状況が全くわからない俺はその『萌』と名乗る女の子を連れてリビングへと急いだ。


リビングにはおふくろと親父と……知らないおじさんがいた。


「きたか五六!お!もう萌ちゃんと仲良くなってるのか!」

親父が言う。

「親父!この女の子が俺の妹になるっていってきてさ!」

「まぁ、落ち着け、話がある」

といわれ俺はお茶を飲んだ。

「で、話って?」

ジト目で俺は親父を見る

「話はな………今日からお前は立派な兄貴になるんだ!」

キリッ!ドヤァ!という効果音が聞こえそうな感じで言った。

「兄貴?俺が?」

「あぁ、お前は昔から妹がほしかっただろう、だからすこし前から孤児を譲ってくれる施設と話をして萌ちゃんを引き取ろうとしたのさ、萌ちゃんは小さい頃に両親を亡くしてそれからそちらにいる高松さんの家に暮らしていたんだ」


立派な兄貴か、俺は萌を見ると萌は

「よろしく、兄貴」

とまた笑った。


………か、かわいいじゃねーかこのやろう



話を聞き終えて俺は再び自分の部屋に戻った。


「そんなことでよろしくね!兄貴」

萌はそういうと俺に抱きついてきた。


「な!い、いい香りだ……」

「ん?なんて?」

「あ、いや、なんでも……」

「ところで兄貴、私はおじさんに今日から新しい兄貴と一緒の布団で寝なさいって言われたけどいい?」


は?一緒の布団で寝る?こんなかわいい子と?


最高やん!





という事で俺と萌は添い寝した。

「………」

「兄貴どうしたの?あ!くっつきすぎた?」

と萌はすこし俺から離れた。

「いや、そういうことじゃない、くっついていた方が布団暖まるし、てか本当にいいのか?俺と一緒に寝て」

そういうと萌は

「うん!だって私、小さい頃から一人だったからお兄ちゃんとか欲しかったんだ」

といいはにかんだ


──なんだ、ただの天使か


俺はそう思いかわいい妹をすこし優しく抱きしめ一緒に寝た……




翌日

「起きて兄貴、朝御飯だよ!」

萌は俺の体を揺すって起こしに来てくれた。


「おは……は?」

薄目で萌を見るとなんと萌はエプロン姿だった。


……しかも裸エプロン


俺は慌てて布団から起き上がり俺の服を萌に羽織らせた。


「お前、なんて格好朝からしてんだ!」

俺はそういうと萌は昨日のライトノベルを持ってきてパラパラとめくり物語のヒロインが裸エプロンしているイラストを俺に見せてきた。

「兄貴ってこういうの好きなんでしょ?」

「ば!違う!俺はそういうのは巨乳でかわいい二次元女子にやってほしいだけでただ単に裸エプロンが好きって訳じゃないからな!」

と俺はなぜか早口で言った。

「なんだそうだったんだ、じゃあ着替えるね」

そういうと萌はエプロンを脱ごうとした。

「は?ここで?まてまて!あっちで着替えろ!」

「別にいいじゃん、兄妹なんだし」


─なるほど、兄妹なら妹の裸みたって別に犯罪じゃないか………

「んなわけあるかぁ!」

「ど?どうしたの?兄貴?突然大声だして?あ!もしかして私のこと可愛くないの?」

「いや、かわいい……じゃねーよ!てか早く服を持ってこいよ!」

「えぇー、じゃあ、兄貴が持ってきてよ」

「なんで俺が?」

「おじさんに昨日、兄貴は優しい人だからなんでもやってくれるっていってたんだよ?」


親父め!



俺は仕方なく萌の服を俺の部屋へ持っていった。


蛇足だが俺が萌の服を持っていく際、その光景を親父にみられた。




「五六、今日は萌ちゃんと一緒に家にいてくれないか?」

突然親父がそういった。


「萌と一緒に留守番?なんで?」

「また近々、女の子を引き取るからね」

「は?また?なんで?」

俺が問いかけると親父は

「こんなに小さな妹だけだとお前はすこし物足りないだろ?だから今度はお前より二歳年下の女の子を連れてくるんだ」


あ、あんたは神ですかぁ!


「それじゃ、留守番よろしく」

そういって親父は出掛けていった。


見送りが終わり俺は部屋に戻ると萌がゲームソフトのパッケージを持ってベッドに座っていた。

「あ!兄貴、おじさんは出掛けたの?」

「あ、あぁ、出掛けた」

「だったら二人でこのゲームやろうよ!」

そういって萌は俺にパッケージの絵を見せた。


そのパッケージにはこう書かれていた

『妹VS妹!~お兄ちゃんはどっちの#妹党__いもうとう__#を応援するのか!~』

というゲームだ。


「エロゲーじゃねーか!」


そういえば俺、まだ16なのにエロゲーを持っている、ていうかエロゲーしか持ってねーな

「えろげー?なにそれ?」

きょとんとして訪ねてきた萌に

『これはツンデレとブラコンの妹がどっちがお兄ちゃんに愛されてるか体をはって決める(意味深)ゲームだよ!』

…………何て言えねー。

「え、えっとエロゲー?なにそれ美味しいの?」

と絶対にばれるいいわけで逃れようとした俺を萌はムスッとした。

「兄貴ってこういうの好きなんでしょ?」

何か察した萌はニヤニヤと笑った。


仕方なく俺は萌とボードゲームをやり時間を潰した



2時間後

「おーい!五六!新しい子を連れてきたぞ!」

親父が帰ってきた。

俺と萌は玄関へと行くとそこにスマホをいじっているセーラー服をきたツリ目の女の子がいた。

「さぁ、自己紹介を!」

「笹倉桜、14歳。中学生」

そういうとその子は俺をにらみ本当の自分家のように2階へとあがっていった。

「兄貴、あの人怖い」

と俺の腕をつかみ震えてる萌。

「笹倉桜ちゃん、あんな性格だけどさっきまでお前のこと『お兄ちゃん』って呼んでいたんだぞ?」

そういうと親父はリビングに桜の荷物と思えるものを持っていった。




俺は気になり萌を親父に任せ桜のところへ行った。


俺の部屋から声が聞こえた、たぶんこの声は桜だろう、俺はそっと部屋を開けると桜は俺のベッドで

「すーはー、お兄ちゃん、あれが新しいお兄ちゃん………か、カッコいい!」

と小声でいって俺の枕の臭いを嗅いでいた。


俺、カッコいいのか?


「あのぉ~」

「きゃ!」

俺は声をかけてみた。

「な!なに?お兄……五六さん!」

顔を真っ赤にして俺のところをみた

「お前、今なんかいってなかったか?」

「聞いて……いや、なにもいってませんよ」

と桜はそっぽを向いた

「でも今、お兄ちゃんって?」


「聞いてたんですか!」

と大声で桜は言った


「すまない、お兄ちゃんを連呼してるところから聞いてた」

そういうと桜は恥ずかしそうに言った。


「あの!五六さ……お、お兄ちゃん!私、お兄ちゃんのことが好きなの!」


「そうか、それならよかった、兄妹だし俺のことが好きなのはわかった、萌もそういってたし」

「そうじゃなくて、兄妹として好きってことじゃなくて、恋人として好きってことで……」


─うんうん、そうかそうか………なんつった?


「へ?なんて?」

おれは目を丸くして聞くと桜は

「昔からアニメや漫画とかで妹を守ってくれる兄が好きで、好きすぎるあまり3次元でお兄ちゃんに守られたいなって思って」


なるほど、アニメの影響でブラコンになったのか。


てか、孤児だから本当の兄妹じゃないしこのさい俺も桜とリア充になれるんじゃ?


だけどもう兄妹になってしまった以上できないか……


萌が来て2日目に俺はもう一人の妹ができた(シスコンの)

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