第7話

「お兄さん!私の大事な下着がなくなってるんですけど、心当たりありますか?」


朝早く目に飛び込んできた薫の豊満とした胸、もう少しで顔に当たりそうだった


「なんだ?ついにおれに好意でも抱いたか?」


「ち、ちがうの!………ちがくはないけど……」


ごもごもとなにかを小声で言う薫


と、そこへガチャリと部屋があき桜が入ってきた

「おはよう、マイエンジェルぅぅぅぅ」

いきなり桜が首を絞めてきた

「お兄ちゃん!私の大事な本がなくなってるの!」

「うん、そう……か、まずは一旦首からてをはな、離そ……は……な……」


おふくろ……いま行くよ……



「は!ごめんなさいお兄ちゃん!えっと昨日家に帰ってから私のBL本がなくなってて!」

桜は首から手をはなし謝った


その話を聞いて薫が顔色を変えて

「な!お兄さんそんな趣味を!」

「まてまて、違うぞ薫、えっと、桜がその本で薫が下着、おれは知らないぞそんなの」


おれは首を振るが2人の目線がなぜかベッドの下を見ていた


「「ベッドの下に隠してないでしょうね?!」」


二人は同時に言った


「まてまて、おれの部屋のベッド下は清潔でエロ本なんぞないぞ!というか薫の大事な下着はともかく俺が桜のBL本持ってたらおかしいだろ!」

「私の下着はともかく?……まぁいいでしょう、たしかに桜ちゃんの独特な趣味の本をお兄さんが持ってたらちょっと引きますね……」

「だろ?というかお前らのへやに入っったのは真希先輩が止まったとき以来一切入ってないぞ!」


むむむっと顔を歪ませる薫

「本当?」

「本当だ、萌につれてへやに入らされることは多いが基本的萌とはこの部屋で遊んでるぞ」

「「…………」」

二人は沈黙したのち

「よく考えたらたしかにお兄さんがそんなことしませんよね」

「そうだね、いくら変態でもそんなことお兄ちゃんやらないよね!」


やっと信じてくれた

「オレじゃないということはわかった……でも大事なものはなくなったままだな、考えにくいが学校にでも落ちてるんじゃ?」


「「いやいやいやいやいや!」」

二人は同時に首を振る




問題は解決されないまま学校に向かった俺たちはずっと考えていた


鍵は毎日閉めているのにも関わらず下着と本がなくなることなんてあり得ない、これは難問だ


仕方ない、手当たり次第知ってるひとに聞いてみるか


「真希先輩は薫と桜のもの、盗んでないですよね?」

昼休み、真希先輩に探し物を持っていないか聞いてみた。

「そんなのしないよ?あ、そういえばごろーくんつぎの休み桜ちゃんも薫ちゃんも予定ある?」

「うーん、わからないですね、何でですか?」

真希先輩は近寄ってきて

「ショッピングに誘おうと思って」

「ショッピング?」

「うん、来月末、萌ちゃんの誕生日だって薫ちゃんに聞いてね」

「誕生日……か、そういえばそうだな……ごめんなさい、お昼休みに呼び出して、おれ、次いくところがあるので」

「はいはーい」


情報は……0か、

真希先輩はやるはずはないと思って正解だな……そうか、来月末は萌の誕生日か………


「下着?さぁ?しらないわよあなたのなんて」

今度はストーカーの京子先輩に聞いてみた。

「お、俺のじゃないから!……って下着は知らない?もしかしてあんたは本を?」

「本?あ……あの本そうだったのね……そんなことより五六くん、桜ちゃんについてなんだけど……あの子あなたの家に来る前は一人っ子だったのかしら?」

睨み付ける俺に京子先輩が聞いてきた

「そんなのわかりませんよ、親父しか知らないし」

「あら、その様子じゃ知らないのね、仕方ないわ」

ふふん、と鼻息をだし片目をつむる先輩


「桜ちゃんにはお兄さんがいるかもしれないのよ」


桜に、兄?


いや、これは単なる先輩がオレをいじってるのか?


「おれは桜の本を探してるんです!今は兄がどうとかいってる場合じゃ」

まだ話し終わってないのに先輩が

「五六くん、もう一度放課後屋上に来てくれる?あなたが探してる本を返すから……ここだと人目が多いから本は、渡せないから」

そういった先輩はいたずら顔でいいオレを見下していた。

「わ、わかりました」

それが怖かったのかおれは唾を飲み込んだ。

それをみて先輩はフフっと悪い笑顔を見せた。




放課後、言われたとおり屋上へいった。


「まずは、また来てくれてありがとう」

夕日を見ながら先輩はそういった

「で、はなしってなんですか?桜のお兄さんのことですか?」

「えぇ、まずは足元にある大量の本を読んでちょうだい」


なにいってんだ?

そう思い下をみるとおびただしい数のBL本がおいてあった

「なんだこれ!」

「あなたが探していた本よ、まさかあなたがそんな趣味だったなんて……」

「なっ!ち、ちげーよ!これは桜の本だ!」

なんでおれ今赤面したんだろ。

「冗談よ、面白い子」

くるりとこちらに体を向け先輩は近寄ってきた

「五六くん、嫌だと思うけどそのBL本簡潔にできるだけ全部読んでみて」

「は、はぁ」

おれは近くにあった本をペラペラとめくった


数十分後、何となくだけど読み終わった。

「読みましたよ先輩」

「ご苦労様、五六くん、突然だけど問題を出すわ」

「え?」

ま、まさか、1から全部どんなプレイで男と男が愛し合ってたかって問題はやめてくれ!

「その大量の本……共通点があるわ」

「共通点?」

「シンキングタイムは三分、特別に本をもう一度読み返していいわ」

共通点………


そう思いペラペラと二冊読み比べてみた

すると

「あ、もしかして」

「くふふ、気付いたかしら?」

「もしかして、名前がみんなおんなじ?」

「大正解よ五六くん、正解は主人公の名前がみんな『凪』っていう名前なのよ」

先輩はよしよしと俺の頭を撫でてくれた。


答えを知りもう一度三冊ぐらい読み返してみるとみんな主人公の名前が『凪』だった。


「これは私の推測なんだけどあなたさっきこの本を桜ちゃんのって言ったわよね?こんなに主人公の名前が一致してるのってもしかしてお兄さんが要るのかもしれないのよ」


た、たしかにこんなに名前が一致してる本を集めてるってことはその話は一律ある。


ちょうどそこで下校のチャイムがなった

「あら、もう下校なのね、五六くんその本は返すから私と協力してくれないかしら?」

「協力?」

ニヤリと先輩はわらい

「本当に桜ちゃんにお兄さんがいるのかってこと、せっかくのかわいい義理妹なのに少しもやついてる顔なんて見たくないわよね?協力しなさい」

おれも桜にお兄さんがいるのかってことを証明したい。


「やります、協力します先輩!」

「お利口さんね」


桜にお兄さんか……そんなことばかり考えて家路に着いた 

「あ!お兄さん!遅かったですね」

玄関で待っていたのは薫だった

「お、おう、ただいま」

「聞いてください!さっき電話があって真希先輩から平日に桜ちゃんとショッピングにいくことになりました!」

満面の笑みで薫は言った

「俺もその話きいたぞ、たしか萌の誕プレを買いにいくって」

「そうなのですか!あ、ごろーくんも一緒にいく?」

「わるい、週末は俺、予定があるから」

薫はしゅんとなり

「そうですか、残念です……」

「ごめんな、次は必ず!……ね?」


そんな会話をしていると二階から桜が降りてきた。

「お兄ちゃんお帰り、遅かったね」

「桜、ただいま」

桜はキョトンとして俺の顔を見て

「?……お兄ちゃん具合でも悪いの?顔色悪いよ?」

「だ、大丈夫だよ……あ、そうだ!桜のおすすめのラノベ借りていいか?」

「う、うん……いいよ」

許可が降りた、俺は早速階段をかけあがり桜の部屋に入った


俺はすぐさま京子先輩に電話した

「こちらコードネーム56、目的の場所へとついた」

『ふふっ、さすがよごろーくん、まさかすぐにそこまで出きるとはね、早速だけどそこから例のものを探して見つけてくれる?』

「命令はいいがおれは一度も桜の部屋に入ったことがないから見つけるのに長くなるぞ、それでもいいんだな」

電話越しなのであまりわからないがスクりと笑い

『いいわよ、今週末までに見つかれば、じゃあ切るわ』

「おう」


京子先輩にいわれた例のものとは更なる証拠となるもの……


写真やら手紙、そのようなものが桜の部屋にあったら確実に桜が俺たちに隠している本当の兄妹がいるということになる。


そこに目をつけた先輩、やはりすごいな、ただの薫を因縁つけてる会長かと思ったら違った。今度ちゃんと謝らなきゃ



部屋の隅々を探し10分……

「なんだこれ……写真?」

机の奥の方にあったのはきれいに包装された手紙みたいなものだった

「勝手にみたらおこられるかな?」

そういいながらいってることと真逆のことをした


包装されていたのは……手紙だった

「手紙……読んでみるか、えっと『お兄さんへ、急に家出してごめんなさい、私は今、笹倉家にいます、おじさんの知り合いの方にバカみたいに土下座して娘にしてもらっています、私はおばかだよね……この間初めてしりました、私たちのお母さんとお父さんはお兄さんの言うとおり事故でなくなっていたということ……疑ってごめんなさい、もうそろそろ心の準備ができたら今のお兄ちゃんと妹、お姉ちゃんに内緒でそちらに戻りたいと思います』な!」

俺は急いで部屋を出て手紙をコピーして京子先輩の家まで走っていった。


もちろん本物の手紙はもとの場所へおいて


「お兄さん出掛けるんですか?」

玄関を出ようとしたとき薫が声をかけてきた

「あ、あぁ、友達が急用だって……め、飯はお前らで食べてくれ、遅くなるかもしれん」

「そっか、お兄さん忙しいんだね」


知り合いの先輩の家に行き京子先輩の家を教えてもらい全力疾走した。


「ほぅ、まさかゴロー君が私の家まで来てくれるとはね、すまないが今は家族がいるから家にはあげられない」

「いいです、それよりこの手紙読んでください」

息切れを直さずかすれた声で先輩にコピーした桜の手紙を渡した

「まさか桜ちゃんがそんなことを考えていたなんてね……この事は桜ちゃんに言ったのかい?」

「いったら殺されますよ……」

「そうか、……ゴロー君、明日の放課後、桜ちゃんと来てくれるかい?」

「は、はい、たぶんいいと思いますけど、俺が負担かかるだけだと思いますけど」

「よし、そこでこの手紙をわたしは渡す……それでこれまでのことをわたしは話す、それでいいね?」

睨み付けるように俺のところをみる京子先輩

「は、はい」

「よし、いい子だ」


放課後、桜と京子先輩がいる屋上へと足を運んだ


屋上へと行くとなぜか体操着になっていた京子先輩がいた

「ごろーくん、ありがとね、あなたはもう退出していいわ、下で私を慕ってる後輩ちゃんが要るからそこへいきなさい」

ウインクして先輩は言ったので俺は言うことを聞き屋上を降りた。



 ̄ ̄ ̄ ̄ここから第三者視点 ̄ ̄ ̄ ̄


「京子会長、なんですか?」

震えながら桜は言った

「あなた、自分の部屋にこんなものを隠していたなんてね」

京子は体操着のポケットから五六が渡した手紙のコピーを桜に見せた。

「これは……」

桜は反射的に下を向いた

「これはごろー……五六くんがあなたの部屋でラノベを探してるときにみつけたらしいわ……すこし、いや全文読ませてもらったのだけど『もうそろそろ心の準備ができたら#今のお兄ちゃんと妹、お姉ちゃんに内緒で__・__#そちらに戻りたいと思います』という文章に少々苛立ちを感じたわ」

ムッと桜を睨み付ける京子

「いら……だち……」

「そうよ、私にはわからないけどあなたどれだけ本当の兄弟じゃない五六くんと薫さんと萌ちゃんにあいされてるかわかってるの!?」

校内まで聞こえそうな大声で京子は怒鳴った

「ごろーくんはこの手紙を持ってきたときすごく息をあげていたわ……そうとう私に相談して出ていくのを止めてほしかったようね……」

「………」

桜はうつむいたまま無言だった

「なんであなたは五六くんたちに無断で出ていこうと思ったの?」

桜に近づく京子

「薫さんのことばかり見てて存在が薄くなったのでその……」

「そんなことで?」

「…………」

黙り混んでしまう桜

「………はぁ、わかったわ、こうなることは想定していたから……いまだから言えるけどごろーくんがあなたのお兄さんに会いに行く計画をたててるわ」

「!」

桜のからだが一瞬ピクリと動いた

「お兄ちゃんがお兄さんのところへ?」

「そうさ、今ごろきっと秋菜 がごろーくんに話してるはず」

桜はそれを聞きうつむき目のハイライトが消えた。

「わ、私止めてきます!」

京子の元を去ろうとする桜に京子が怒鳴った。

「やめなさい!もう止められないわ」



この時、烏が鳴いた。


「先輩が下に行けっていったけどどこに行けって言われてないしな」

夕日が差し込む廊下を歩いていると

「そのネクタイは二年生……先輩ですね!」

「へ?」

横から声をかけられた

「もしかして先輩ってまさかまさかの相談者ですか?」

「相談者?」

「そうですそうです!ここで足を止めて首をかしげてるってことは生徒相談部に話にきた方ですよね!ささ!こちらへ!部長は今、用があるっていってましたからこの秋菜がずばっと参上!キラッと解決!しちゃいますね!」

少女ははにかんだ

「ここではなんですから部室へ!」

「ちょ!おれは探し人をぉ!」

まるで俺の話を聞いてないかのように無理矢理部室へと俺を入れた。


さて、すんなりと座ってしまったがおれは向かえにいるショートで八重歯でどことなく萌のJKバージョン(妄想だが)みたいな子知らないぞ……


「さて、先ほど探してる人がいるっていいましたね……特徴は?」

律儀にペンとメモ帳を出している……というかさっきの話聞いてたんだ、

「えっと君は泉京子先輩をしって……」


「ま、まさかあなたが泉先輩から話を聞いた笹倉先輩ですか!」


ふぇ?

「そ、そうですけど……」

「すみません!先輩から今日ここに笹倉先輩がくるってきいたのでまさかあなただとは思いませんでした……えっと、改めまして、1年A組の船橋秋菜です、よろしくお願いします」

「よ、よろしく、そんなにかしこまらなくてもいいのに」

俺がそういうと部室の部屋が開いた

「ごろーくん、ここにいたわね」

「京子先輩!」

「あっきー、ご苦労様」

そういって京子先輩は俺のとなりに座った。

「彼女は全部話したわ、本当のお兄さんのことも他に兄弟がいたことも」

「そうですか……というかその話聞くためにわざわざ俺をここに?」

「いいえ、あなたをここにきさせたのは桜ちゃんが全部言うってことを想定してここへ呼んだのよ、本当の目的はねごろーくん」

「は、はい」


「あっきーと一緒に桜ちゃんのお兄さんの話を聞きに行って欲しいの」


は?このひとはなにいってるんだ?


「ちょっ!手がかりはあるんですか!?」

「ごろーくん、私の趣味を知っているかい?」

と先輩が聞いてきた、すると

「私わかります!たしか性癖は追い詰められる系と捕虜系でしたよね!あと趣味は気に入った人物の観察!」

と廊下に響きそうな声で秋菜はいった

「そうなんですか先輩?」

ジト目で先輩をみた俺は疑った

「うっ、そんな目で見ないでくれ……あ、あっきーの言うとおり性癖は……じゃなくて趣味は気に入った人物の観察、自慢じゃないが君が手紙を見せてくれた翌日からここ最近桜ちゃんのことを見ててね、スマホにごろーくん以外の男が写ってた画像があったんだよ、その画像を私のスマホで撮って分析したら案の定桜ちゃんの実兄でね、これがその顔さ」

先輩はひらりと机の中心に写真をおいた

「これが、桜のお兄さん?」

「そうよ、名前までは調べなかったけどきっとそうだわ、桜ちゃんこの写真みてお兄さんってつぶやいてたもの」


秋菜の案内により無事先輩と桜のお兄さんのまちあわせ場所であるメイドカフェに着いた

「……のはいいもののなぜ遠くの席に?俺だってこうみえて桜のお兄さんが気になるんだぞ?」

そう俺は言うと秋菜は

「あれ?先輩から聞きませんでした?先輩とお兄さんが話してるときにお兄さんの不振な動きを見るように言われたです」

「しらん!」

そんなこと俺は知らないぞ!


そんなことを話しているとメイドさんたちが一斉にお帰りなさいませといった。


「来たみたいですね、はわわぁ!先輩の私服かわいい!」

おれは先輩の私服をみて驚愕した。


なにあれ、頭には鬼?小悪魔の角が生えてるカチューシャ、そしてゴスロリドレス……まさかこれが人気をとりたいと願っているうちの学校の生徒会長……うわ


って今は先輩より桜お兄さんを!

ひよこたんおむらいすをたべ横目でみると殺したくなるようなイケメンが先輩と座っていた。


同じくチラ見で秋菜の顔をみるとムッとしていた

すると小声でぼそぼそと呟いた


おれはそれをイケメンに嫉妬していると思いなにも触れずひよこたんおむらいすを平らげ先輩の座ってるテーブルへと耳を傾けた。



「きょうころりんさん間近でみるとかわいいなぁ!」

「も、もう!お世辞はやめてくださいよぉ」


ぶち壊そうかな?実は俺、人の幸せみるとぶち壊したくなる性格なんだよね。


数分ツブヤイターの話をしたあと先輩が話を自然に出した

「ダンデさんは家族とか何人兄弟ですか?」

これはいい質問!さすがだ

「えっと……」

その質問に桜のお兄さんはうつむいて黙ってしまった、それをみかねた近くにいたメイドさんが声をかけてあげていた、ナイスです。

「あ、えっと家族はですね幼い頃に両親は僕たち四人をおいて事故でなくなってしまったんですよ」

そんなことは知っている先輩は演技の幅は豊富で

「あ、ごめんなさい、私残酷なこと聞いちゃった」

とあたかも初耳のようにいい流した

「あ、大丈夫です、それで……それで元気をなくした妹が家出してしまって……実は東京にきた用事は妹を探すためにきたんです、なんせ僕たちがすんでいるのが田舎なので直感ですが家出といってもお金を持ってっていくところといったら東京かな?って思いまして……こんなところにはいるはずないのに………」

話がどんどん重くなるのを察した先輩は

「ダンデさんの兄妹のこと、もっと教えてください」

「いいですよ、まぁ、僕の名前はこのダンデライオンのはなの名前をもじっただけですけどね」

「たんぽぽさん?」

英語わかったのか!?

「いえ、僕の名前は北沢 英公、長女の山花、次女の紅葉、三女の 秋、そして家出をしている秋の双子の妹四女の桜……お分かりのように僕の兄弟はみんな花関係の名前なんですよ」


やはり先輩の言うとおり桜のお兄さんだった、ダンデ……英公さん




二時間後、先輩たちは先に出ていった


そのすぐ連絡がきた

『あなたたちご苦労様、下へ来ていいわよ』

うお、さっきと変わった口調!


おれはメールをみたあとすぐ秋菜と下へ降りていった




「お疲れさま、やはり私の言うとおりあの人は桜ちゃんのお兄さんだったわ」

「えぇ、先輩もお疲れさまです、あと私服どうにかしてくださいよ」

俺がそういうと先輩は睨み付けすぐそのあと後ろを向いた

「これは私の私服じゃないわ、これは秋葉にいそうな女子の格好よ」

「は、はい」

マジなトーンなのでほんとらしい

「それで、君たちはこれからどうするんだい?まだ14時半だが」

先輩がそういうと秋菜が元気よく返事をした

「はいはーい!これから笹倉先輩と秋葉をみる約束してるのです!」

「おぉ、そうかい!私も行きたいがこの格好じゃ店に入りにくいから帰らなきゃいけない、そういうことならごろーくん!あっきー、また学校で」

といい先輩は駅へと向かっていった。


「先輩!やっと二人っきりですね!」

秋菜は先輩が見えなくなるとすぐ満面な笑みで俺に腕を組んできた


「それじゃあいくか」

「はい!」

秋菜はすごく元気に返事した。



まず来たのはアニメグッズがたくさんあるアニメエンスストアだ

「わぁ!すごいすごい!ここのコーナー全部『武士道路』コーナーですよ!先輩これこれ!水瀬カフェちゃんです!はわわぁ!」

入るなり大声で騒ぐ秋菜

「お前、もしかしてカフェちゃん知ってるのか?」

俺が聞くと秋菜はハッ!となり赤面して

「実はこの子しか知らないんです、もしかして先輩、このゲーム詳しい方ですか?」

「いや、俺は詳しくはないけど桜がやっていてね」

「桜ちゃんがですか!そうならそうと早くいってくださいよ!今度おうちいきますね!」

「それで、なにか買うもの見つかったか?」

俺がそういうと大量のカフェちゃんのグッズを持ってきた

「そんなにかうのか?」

「買いますよ!なんせじゃジャーン!お年玉とおこづかいとバイト代とお盆だま全部持ってきましたから!」

にへらぁ、と大金を見せて笑う秋菜

「うわ、多くね?」

「そうですかね?ハナシターのみんなはこれぐらい使ってるって聞きましたよ?」

武士道路ファンこわっ……



アニストをあとにした俺たちは家に帰るため電車にのり揺られた

「先輩は妹さんたちをどうおもってるんですか?」

素朴な質問をしてきた秋菜

「本音だとマジ最強にかわいい」

「本音だと?じゃあ本音じゃないとどんななんですか?」

「ん~………ロクなもんじゃないかな?」

「ロクなもんじゃない?それは噂だと血が繋がった兄妹が思うことだと思うのですが?」

袋いっぱいに買ったグッズに抱きつききょとんと首をかしげる秋菜

「世間ではそうだと思う、だが秋菜、世間の常識を自分の常識と合わせちゃダメだ、困難が起きる」

「困難?」

「話は変わるが一般的な常識が完璧だと思うなよ、自分が好きに生きてた今を他人からこれはあーしたほうがいいとか、世間では通用しないとか言われることが多い世の中になっちまったが自分自身がいいと思ったらそれで生きていけばいい」

「いっている意味がよくわかりません」

口をへの字して目を回している秋菜

「あー、簡単に、簡単にな言うとまぁつまり、自分が好きな生き方してればいいってことだ!」

「は、はぁ」


駅に着く頃にはすでに日が沈んでいて、暗くなっていたのでおれは秋菜を家に送り届けることにした。

「すいません先輩、家まで送ってもらえるなんて、えへへ……」

赤面し恥ずかしそうに笑う秋菜

「いいよ、いいよ俺も家近いから」

「じ、じゃあ、おやすみなさい先輩」

秋菜は俺に近づいてきてキスをした


「なっ………!」


「今日楽しかったのでご褒美ですよ!」


そういって秋菜は早足で玄関を開け家に入っていった。


俺はその後、そこで回路がショートして動けなかった。

「昨日はお疲れさま」

翌日の放課後、生徒相談部の部室に呼ばれた、というか自分でいった

「先輩のゴスロリかわいかったです!」

「あ、ありがと、本当にあれはただのコスプレよ?アッキー」

「それよりもあのあと手がかりはつかめたんですか?」

俺がそういうと先輩はふふん、と笑い

「当然よ!それに学校の桜ちゃんのお友だちから再来週の土日に実家に帰るって聞いたのよ!」

俺も知らない情報を先輩はいとも容易く聞いていたことに兄として失格だと思った。

「そこで笹倉先輩とお兄さんがご対面するんですね!」

「その通り!でもあいにく再来週は私用事があるからいけないのよ、また二人に頼めるかしら?」

「いいですよ先輩、先輩は生徒会で忙しいですもんね」

「う、うん……そうなんだけどね……最近すごく副会長の羽山さんが頑張ってくれてね、すごく助かるんだけど私の仕事もとるから意外と暇な日が多いのよ」

「じゃあ、用ってなんですか?」

俺が聞くと

「文化祭の会議よ、よりによって土日に生徒会会長の私がでなければいけないのよ」

おちこんでいる、それほど桜のことがしんぱいなのか

「落ち込むほど桜のことが心配だったんですか?」

「いえ、なんでそこは羽山さんじゃないのかって疑問なのよ」


おい、それでいいのか生徒会会長さん



放課後、桜実家の予定をたてるためにおれは人生初、年下の女の子の家に上がり込んだ

「こ、ここが秋菜の部屋」

幸い、秋菜には姉弟は居ず、一人部屋だった

「あ、先輩ちょっと廊下の方にいてください、着替えますので」

「え?……あ、あぁすまない、なんなら目を閉じてるからご自由に着替えてどうぞ」

俺が目を閉じようとしたと瞬間、秋菜は俺をジト目で俺をみた

「なんだ秋菜、なぁに気にすることはない、薄目なんか開いたりしてないぞ、ほんとだぞ」

実は薄目だったりして

「この間の秋葉のときは紳士だったのに今日は変態さんですね、戯れ言はいいですから早く廊下にたっててください」

背中を押され無理やり廊下に出された


数分後

「先輩、入っていいですよ、着替え終わりました」

タンクトップで胸が強調される上半身にふともも丸出しのショートパンツの私服に思わず股間がスタンディングオペレーションしてしまいそうだった、


「さて、先輩、京子先輩の作戦をよりよいものにするために会議を開きます」

「っていっても会長なにもいってくれなかったぞ?」

お茶をすすりながらおれはいった

「まぁ、そこは野生の勘ってやつに任せておきましょう」

不安だなぁ。

「まずはどうやって桜ちゃんに見つからずにお兄さんにあえるかですね!確か桜ちゃんは四兄妹の四番目、つまりダンデさんはもう大人説が浮上します、さらに言うとお兄さんに会える確率はダンデさんと桜ちゃんを除いて二人の姉兄がいるのでその二人に協力してもらうのが最善で最高の確率で話せますね」

「てか俺がダンデさんと話すわけだがなんて話せばいいんだ?」

「そこは先輩の当日の状況にまかせます、あ、くれぐれも秋葉メイド喫茶のことは言わないように」

「うい」

「当日の状況に任せますといいましたが桜ちゃんのことは必ずいってください、心配してましたし」


こうして会議は夜遅くまで続きかえる頃には9時を回っていた


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