第5話

「お兄はん、ひょここふねはへたいへふ……」

「はぁ?なんて?」

「チョココロネたべたいんです!」

「今、現在進行形で食べてるじゃないか……」


学校の昼休み、俺と薫は屋上で昼食をとっている。


「あのなぁ薫、いくらアニメがすきでも別にそのキャラの誕生日にキャラが好きなの食べなくてもいいだろ?」

パクパクとチョココロネを食べてる薫に俺はいうと

「お兄さんはなにもわかってないですね、推しキャラの誕生日なのにキャラの好きなものを食べないなんて、それは作品やキャラクターに失礼だと思いませんか?」


──いや、知らねーし……


「だいたいお前、このチョココロネ購買のだろ?こんなにかっていいのか?高等部の人気商品なんだろ『おばちゃん特製チョココロネ』って?」


薫の隣には6、7袋チョココロネの未開封の袋が転がっていた。


「ふぁい、これふらいわたしたへられまふよ?#じっひゃい、アニメのキャラがこのぐらいたべてまひた」

ほっぺが膨らむほどチョココロネを放馬る薫

「飲み込んでからしゃべれ、てかお前よく飲み物なくて食べれるな?」

「チョココロネは飲み物です!」

キリィ!ドヤァ~!みたいな効果音が聞こえてきそうな言い方で薫は言った。

「いや、チョココロネって飲み物じゃねーし……俺、今から購買で飲み物買ってきてやるからなにがいい?」

「メントス入りコーラ!!」

「ポジティブどころかコーラが滝のように流れ出すわ!」

俺は階段を降り購買へと向かった。


たしか購買のお茶は130円で……小さい牛乳パックが50円……合わせて180円か……やべ、細かいのねーな


毎月のおこづかいが10000円で今月はホテルに設置してあった『ひぐまのファーさん』のぬいぐるみに500円使って、なぜか買わされた桜のビキニ(高額)と海で遊んだとき使ったバナナボード等などで俺の財布のなかは夏休みが始まる一週間前には悲鳴をあげていた。


まずい、バイトしなきゃ……このままだと夏休みにくるおじいちゃんやおばさんにお盆だまねだってしまう……うぅ


俺はそっと心に『夏休み中にバイトする』という目標を誓った。


俺はなんとかお茶とコーラ(小さいやつを見つけた)を持って薫のところへと戻った。



『夏休みにやる俺のバイト探し』



☆いいバイトを見つけたらお給料で好きなものを買ってやる条件付き。



俺は妹たちにそう言うと二つ返事で助けてくれることになった。


俺はバイトをすることにした。


バイトといってもこの間桜、薫、萌の三人と一緒に俺にできそうなバイトを選んでもらい


桜は夜の仕事(意味深)


薫は映画館


萌は遊園地のフードコートを選んでもらったが俺的に学校が近い映画館にバイトすることにした。


平日と休日にシフトをいれてもらい受付の手伝いをする。


学校が近くなので休日より平日のほうが学校の生徒に出くわす、まぁ夏休みだからか


休日の昼間、映画が公開している暇な時間に後ろから声をかけられた。

「五六くーん、まさかここにバイトすることにしたなんて」

声の主は真希先輩だった。

「うわぁ!真希先輩!どうしてここに!」

「いやぁ、もうすぐ私もバイトしないとまずいかなぁ~って思っててさ、夏休みでもいいからバイトしようとしてここにきたんだよねぇ~あ!五六君は?」

「俺もそんな感じです!夏休みにバイトすることにしたんです!」

「そっかぁ~私とおんなじか~」

そういって真希先輩は俺に近づき耳元で


「それじゃあ夏休み中一緒だね」

と甘い声でそういった。


「ちょ!先輩なにふざけてるんですか!確かに一緒に働きますけど先輩そんなにシフトいれてませんでしたよね!」

なぜだかドキドキした。

「そういえばそうだったね!失敬失敬!それはそうと、週末にバイト代もらうけど五六君、こんどの週末に一緒に出掛けないかい?」

「出かけるんですか?」

「まぁね、欲しい化粧品とかあるし、よかったらついてくる?」

「週末か………なにも予定ないからいいですよ!」

「よし決まり!こんどの日曜ワオンな!よろしく頼むよ五六君!」


こうして真希先輩と俺の出かける日が決まった。



その後バイトを定時までやりとげ真希先輩と別れて帰った。

帰ったあと土曜日のことを親父と義妹たちに言った。


───ここから第三者視点─────


日曜日、五六と真希はワオンというデパートへと来ていた。

「あ!五六君!おこんにちは!どう?私の私服!」

フードつき半袖パーカーに太ももが見えそうなぐらい短いハーフパンツという服装だった

「ふぇ!………か、かわいいです!」

「でしょ!映画館のバイト私服禁止だからさぁ~というか学校の奴らに私服みせたの五六だけだよ?」

「そうなんですか?女友達とか多そうなのに?」

「確かに学校では友達多いけど休日遊ぶぐらい仲がいいって訳じゃないしなぁ……それはそうと早く中に入ろうよ、ここすごく暑い」

そういって二人はデパートの中に入っていった。


そのデパートの入り口の遠くで三人の影がゆっくりと動いた。

「お兄ちゃん、中に入りましたね……そういえば中に入るってなんだかえっちなことばじゃないですか薫さん」

「ば!そんなこと萌ちゃんのまえで言わないの!こ、これは大事な尾行なんだから!」

「てかなんで姉貴たちこんな探偵みたいな服を着てるの?私服でいいじゃん」

駐車場で望遠鏡で五六たちを見ていた桜、薫、萌の三人は五六が出かけるということを知り気になってついてきた。

「それにしても尾行と交尾って似てますよね……」



はたして三人は五六と真希に見つからずに尾行できるのか!


「いっぱい買いましたね先輩」

「これでもまだまだ買い物したいやつあるからね」

俺たちは買い物をひとまず中断し休憩をとりにフードコードへ来た。

休日なので席を取るのに一苦労したのだが何とか座れる場所を見つけた。

「いっぱい買いましたねっていってるけど五六君も買いすぎじゃないの?」

チューっとシェイクを飲みながら真希先輩はいった。


真希先輩の言うとおり俺もすこし買いすぎた、休日外出する用のバッグに好きなアーティストのCD、そして半額でお手頃な価格だったチョココロネ。

「バッグやCDはわかるけど、なんでチョココロネ?てか買いすぎじゃん!」

「あ!俺、チョココロネ大好物なんですよ!あのドロ?いや、トロンかな?そんな感じのチョコがこんがり焼き上がったパンとベストマッチ!しててさいこうじゃないですか!それに後ろから食べるか前から食べるか毎回ワクワクして……あれ?先輩若干引いてます?」

なんか俺を見る真希先輩の目がやたらと嫌そうに……

「若干どころか相当引いてる……なんでそんなに熱く語れるんだ?」

「それはチョココロネを愛してるからです!ちなみに薫もチョココロネ大好物なんですよ?たまに餌付けしてます!」

「チョココロネを愛してるって五六君はそんな趣味があったのか……お幸せに、じゃ」

席を立とうとしている真希先輩を俺は止めた。

「待ってくださいよ!俺はチョココロネを愛してるのは愛してますがそういう趣味ではありません!ちゃんと同年代の女の子も好きですよ!あ、あと妹」

「……ふーん、じゃあ好きな女の子のコーデいってよ」

「萌え袖、ねこみみパーカー、ニーハイ」



───ここから第三者視点────


薫たちは五六と真希をすこし離れてポテトを片手に見ていた

「お兄さんあんなこといってるよ、確かにチョココロネは美味しいけど私はあんなに熱く語れるほどではないなぁ~」

「チョココロネのチョコをちょっぴりえっちに吸いながら私は食べます」

「私は前?からがぶりとたべるよぉ!」

それぞれにチョココロネの食べ方を言い合う三人。

「それにしてもお兄さんがあんなにチョココロネ買うなんて思いませんでした。あんなに食べて飽きないのでしょうか?」

「あそこのチョココロネは三種類あって有名なところだよ?薫ねーちゃん」

「そうなの?」

「うん、チョコ、生クリーム、カスタードの三種類。チョコはチョココロネ、生クリームはクリームコロネ、カスタードはカスタードコロネ、どれも美味しいよ?」





「チョココロネを恋人にするなんて五六君も変な趣味してんねー」

「だから違いますって!」

休憩が終わってもチョココロネの話は続いていた。

「確か五六君って彼女いないよね?」

「そうですがなにか?」

「妹はもう間に合ってるなら次は彼女だね!むふふ、五六君の妹ちゃんたちに突然お兄ちゃんに彼女できたらどんな反応するのかな?」

「そりゃぁまぁ、嫉妬するんじゃないですか?」

「だったら一回やってみようかい?私が彼女役で今日五六君の家に泊まるって作戦で」

「な!なにを言い出すんですかあなたは!」

「でもでも、妹ちゃんたちの反応は五六君も気になるよね?」

「確かにそうですけど、先輩が彼女だなんてとてもむr

「次の言葉次第で◯すよ?」

無理と言おうとしたらなぜか胸元を捕まれた。

「……と、とてもムラムラしますって言おうとしてたんですよ先輩……あはは……」

「なんか変ないいわけだけど許す」


一通り堪能した俺たちはデパートをあとにした。


「本当に今日先輩が泊まるんですか?」

「もち!でも一回家に帰ってからだねパジャマとか枕とか持ってこないといけないし」

「先輩って独り暮らしなんですか?」

「ん~、そうだよ?まぁ独り暮らしというかひとりぼっちになったって言った方がいいかな」

先輩はそういうとすこし寂しげになった

「ひとりぼっち?」

「うん、わたしの家族、去年の暮れに……」

「ま!待ってください先輩!そういう話俺、泣けちゃうんで!」

「え?私はただ去年の暮れに私の学力の問題で家族に逃げられたって言いたかっただけだよ?」


「はい?」


五六ったら早とちりなんだから!



「ここが五六君の部屋かぁ!きれいだね!」

この人本当に泊まりに来た。

「あ、はい、義妹の薫が毎日掃除してくれるんです」

「薫ちゃんが掃除か……同級生に掃除されてちゃエッチい本とか持てないねぇ」

真希先輩はそういうとにやにやと笑っていた。

「な!そんな本なんてないですよ!」

「そうかそうか、君は妹キチだから#妹にチョココロネのチョコを垂らすシュチュが好きなんだっけ?」

「なにその特殊な性癖は!てか本当にエッチな本は持ってません!」

そんなことをいっていると部屋に萌が入ってきた。

「兄貴!宿題教えて!ここがわからなく…………へ?」

部屋にはいるなり宿題の手伝いをしろと言う萌は俺と先輩をみて硬直した。

「あ、兄貴?その人は?」

「あぁ、この人はせんぱ………」

「私は五六君の彼女でぇす!」

先輩はどこかで聞いたことがある台詞を言った。

その台詞を聞いた萌は

「あ、兄貴が女を部屋に連れ込んだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

と誤解を招く言い方で出ていった

「ま、まて萌!冗談だって!」

冗談だと言おうしてももう無駄だった……

「ちょっと先輩!騙すのは桜と薫だけでいいじゃなかったですか!萌はまだ小2ですよ!」

「いいじゃないか、小さい子の方が家族に伝わる速度が早いってきくし」

「聞いたことありませんよそんな迷信!」


先輩の言うとおり俺の家族(特に妹)に伝わる速度は思いの外早かった。


「で、教えてくれるかな?お兄さん?なんで先輩を彼女に?」

激おこの薫は俺をにらんでそういった。

「すいません………」

俺はなんで薫に頭を下げているんだろう……嘘なのに……

一方その頃桜と先輩はというと


「デートの時、お兄ちゃんともいつも手を繋いで歩いてるの?」

「いえ、いつもだと恥ずかしいので、たまにですね」

(私とは恥ずかしくないんだ)

「…もしかして…女の子好きなの?」

「はい、好きですよ」

「!?!?」

(妹ちゃん、からかい甲斐があって可愛い)


なにこの会話、というか今先輩女の子好きって言った!百合かな?

「せ、先輩、先輩って百合なんですなか?」

薫は苦笑いで聞くと先輩はニコニコ笑いながら

「百合かもめ!」

とダブルピースして言った。

「先輩、それ電車の名前ですよ?ふざけてるんですか?」

「うぜぇ……」


このあとめちゃくちゃ………薫に怒られれ桜に罵られた。。。

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