安易なドッキリやサプライズが苦手な方にこそオススメしたい意欲作です。

完結を迎えられ、全貌が明らかになったということで、前半と後半それぞれに対してレビューを書きたいのですが、システム上それはできないので、仕方なく一本にまとめようと思います。それくらい密度が高く奥深いご作品なのです。
かなり長いレビューになりますが、できればお付き合いいただくか、それよりも今すぐ本編を読み始めてください。


★★★ Excellent‼︎!
リアルガチ恋愛シミュレーションバラエティ!? 新機軸が多すぎる!!–––– 福来一葉

なんと説明すればいいのでしょう…やっていることは大人の火遊びというか、内容的にはリーマン攻略乙女ゲームとでもいいますか、しかし雰囲気はトークバラエティで女優やアイドルがやる小芝居に近いものがあります。何を言っているか分からないと思うので、理解するためにはとにかく読んでください(レビューの意味がない)
男女の駆け引きを学びながら最新詐欺の予防にも考えが及ぶという、啓蒙的な意欲作です。緊迫したやり取りにはギャンブル漫画のような凄味が感じられますが、よく考えると我々日本人が普段行なっている何重もの気遣いの応酬を敷衍したものとも言え、ある種の親しみすら湧くでしょう。
…しかしこれ、生身の人間が演じると絶対苦情が来ると思われるので、完全なフィクションでしかできないという意味でも貴重な試みであり、それも含めての「現代ドラマ」であり「ラブコメ」であると拝察申し上げます。
極限状態でこそ露わになる人間の本性を描いておきながら、安いドッキリやサプライズの下品さが苦手な方にも自信を持ってオススメできます。それは通奏低音として流れるテーマの真摯さはもちろんのこと、確かな文章力が下支えしておられる部分も大きいでしょう。面白いです!

👍 2022年2月25日 22:31


…とここまでが前半のレビューなのですが、後半ではそれまでのコメディ色の強いエピソードから、シリアスなヒューマンドラマへと一気に転調します。
しかしやはりこのご作品のこと、苦しみを苦しみでは終わらせません。Last Caseは明るく楽しく、オールスターキャストを迎えた喜劇へと再び転調します。
『優しい嘘』でしか通じ合うことのできない、器用なようで不器用な二人は、一区切りの結末を迎えることができるのか? 第1話のアンサーとなる最終話サブタイトルが意味するのは?
人間心理の精髄へ肉薄したこのご作品を、どうか最後まで見届けてください。