知らないことなんて、海ほどあるんだから。

 「知らないことなんて、山ほどある」と、我々ならいうところだが、この星ではそんなことは言わない。「海ほどある」が正解だ。
 主人公の女性言語学者・アムは、アルマナイマ星のセムタムの民と共に暮らしている。今回は宇宙船操縦の免許更新のために、一時的に帰還していた。その免許更新に落第し、海洋民・セムタムの男性との約束の時間に遅れてしまう。
 セムタムの民は海と竜と共に生きる、海洋のノマドだ。その土地の言語だけでなく文化全般に惚れこんだアムは、口が悪い男性に団子汁をご馳走になる。ちなみに、セムタム語には鍋の種類を表す単語はない。
 ところが話している内に、ご馳走になっている団子汁がとてつもなく「高価」な料理だと判明し、アムは申し訳なくなる。セムタムには金銭の概念がないため、「高価」とは、どれだけの犠牲を払って入手するかによって決まるものである。
 
 今回のアルマナイマ博物誌は、飯テロ!
 美味しそうな鍋の匂いが漂ってきそうでした。
 ああ、お腹が減った。

 是非、御一読下さい。