１５－あるいは１０００回の嘘

すれ違い方がとてもリアルで、主人公に感情移入することができ、とても感動しました。恋愛したくなりました。めっちゃ良かったです。

本当に胸を打たれました。読後も、しばらく余韻が抜けません。彼女たちのあいだの感情が、どれほど深く心を揺さぶったか、言葉にするのが難しいほどです。誤解やすれ違いが、あまりにも鮮明に描かれていて、やるせなさを感じました。
後悔がこんなにも苦しいのは、それがまるで亡霊のように心に居座り、何度もよみがえってくるからかもしれません。

作品は、限りなく私的で繊細で、まるで書くことそのものが、作者にとっての癒しであり、感情を整理する過程だったかのように感じられました。
一人称による主観的な語りと、他者の記録や過去の出来事を追う視点とが交錯し、過去と現在が緊密に織り交ぜられていて、独特で深い語りのリズムを…続きを読む

同性であること、年齢差、色々なしがらみ。そのすべてが二人を苛み、恋を終わらせてしまう。
そこから始まった物語が、どんな結末を迎えるのかは読んでからのお楽しみなのだけれど、この小説の白眉は別れの描写にある。
作中作を交えながら、二人の心のすれ違いを丁寧に、本当に丁寧に描いていく。
それはきっと、作者にとって身を切るようにつらいことだったと思う。
わたしは書けずに逃げた。
この作者は逃げなかった。
それだけで、わたしはこの小説に、この作者に、最大級の賛美を送りたいと思う。
最後に。
この物語はあなたの期待を裏切らない。
是非、御一読を。