これは、わたしの書きたかった物語かもしれない。

同性であること、年齢差、色々なしがらみ。そのすべてが二人を苛み、恋を終わらせてしまう。
そこから始まった物語が、どんな結末を迎えるのかは読んでからのお楽しみなのだけれど、この小説の白眉は別れの描写にある。
作中作を交えながら、二人の心のすれ違いを丁寧に、本当に丁寧に描いていく。
それはきっと、作者にとって身を切るようにつらいことだったと思う。
わたしは書けずに逃げた。
この作者は逃げなかった。
それだけで、わたしはこの小説に、この作者に、最大級の賛美を送りたいと思う。
最後に。
この物語はあなたの期待を裏切らない。
是非、御一読を。