生きるっていいな、愛するっていいな──そんな気持ちになれる小説です!

まず「楽園」について。決して描写がくどいわけじゃないのに、とても色鮮やかに思い浮かべることができました。総天然色というか……アンリ・ルソーの絵のような世界を想像しながら読みました。不思議な鳥たちのそれぞれの思惑が交差する場面も、(いい意味で)とても生々しい。存在しない幻想的な異世界と、身近にいそうなキャラ。ぐいぐい物語に惹き込まれていきます。
そして、終盤。作者様の構成の上手さが光ります。大きな結末に向かって物語が綺麗に纏まっていき、とても胸が揺さぶられます。
「命」という重くて大きなテーマを扱ったものですが、そこで使われている表現がSF的で、そのためか、決して説教がましくならず、陳腐にならず、新鮮な気持ちで感動できました!
楽園、鳥たちの心情、命というテーマ……それぞれに活き活きとした表現で物語が展開していく、とても刺激的な小説です。
文字を並べるだけで、新しい世界が広がり、そして新しい登場人物に新しい命が吹き込まれる。小説を書くって改めて凄いなと思いました!

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