コーヒーとジャズを介した追憶――音楽バカで真面目な彼との青春。

高校の芸術鑑賞会をきっかけにして、主人公の明子と音楽バカな智昭はよく話すようになります。そして次第に二人は――

読みながら何度か、ああ青春だなと感じました。爽やかなだけでない苦さも含んだ青春ですが、それがとても良いです。
作品のキャッチコピーにある「月に連れて行くことはできない」はジャズの『Fly Me To The Moon』に関係しています。
なぜ彼女はそう思ったのか、そして現在の彼女がそのことをどのように思っているのか、ぜひ読んでいただきたいと思います。

作内での喫茶店や音楽の描写と、主人公の心理描写が、バランスよく書かれていて、個人的には文字数よりも短く感じる読みやすい作品でした。

ある自主企画の参加作品ですが、企画を知らない方でも違和感なく読めると思います。
ちなみに、私は『Fly Me To The Moon』をあまり聞いたことがなかったのですが、それでも十分に作品に引き込まれました。

明子のようにコーヒーを飲みながら読むと、より良いかもしれません。苦いのが苦手でも構いませんので。

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