平安時代から続く呪いに終止符を。その鍵は、現代にあり。

まず、構成がとても面白いです。

第一部、魑魅魍魎がはびこる平安時代編。
当時の情景がゆったりと目の前を流れていきます。
その中の日常にある、恋の駆け引き。
歌を詠み、楽を奏で、はっきりと言葉にして告げる事ができない想いを乗せて、心を惹く事をしている平安の世に生きる人々。
けれど、あまりにも無垢な相手を恋の駆け引きとして使った姫がいました。
結果、姫は呪われてしまいます。

第二部、ラブコメが始まる予感の現代編。
いきなり時代が飛びますが、ここでも呪いは続いています。
しかしですね、第一部とは違い、笑える要素満載。
頭がいいのにそれを恋愛に発揮できない女の子、下鴨モチちゃん。
そんな彼女の前に現れたのは天使なのか悪魔なのか、男を落とす事を得意とする女の子、恋神マロン。
この2人がバディを組み、モチちゃんをモテ女に変身させていくのです。
女の子同士の友情が育まれていく過程は微笑ましく、いつまでも眺めていたくなります。

第三部、第二部から12年後の現代編。
モチちゃんも立派な女性へと成長しているのですが、ここで彼女はマロンの謎と向き合う事となります。
そのきっかけは、とある殺人事件。
その事件の真相が、平安時代からの呪いに繋がります。

このように、たくさんの要素が詰め込まれ、様々な面白さを味わえます。
読まれた方は、生命の神秘にも触れる事にもなるでしょう。
そして、誰かを深く愛するという事がどのような事なのかを教えてくれる、素晴らしい作品です。

ぞわりとする恐怖、笑えて切ない青春、大切なものを知ったモチちゃんとマロン。
彼女達が呪いを解くその瞬間を、是非とも目に焼き付けて下さいね。

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