概要
遊郭の夜闇に舞う蝶を、ずっと追い求めている
――暗闇にぽっかりと浮かぶ生白い首筋に、剃刀の刃を当てた。
花街の片隅、水揚げを控えた私のそばには、いつだって幻蝶の姿があった。
美しく奔放で艶やかな彼女を、私は疎んで、妬んで。けれど決して、彼女に届かないということも知っている。
これは華やかな夜に舞う、一羽の蝶の物語。
※本短編は猫月ユキ様企画の『花魁はなくらべ その参』に寄稿した作品となります。
花街の片隅、水揚げを控えた私のそばには、いつだって幻蝶の姿があった。
美しく奔放で艶やかな彼女を、私は疎んで、妬んで。けれど決して、彼女に届かないということも知っている。
これは華やかな夜に舞う、一羽の蝶の物語。
※本短編は猫月ユキ様企画の『花魁はなくらべ その参』に寄稿した作品となります。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!幻蝶を舞わせたもの
周到に構成された作品です。
抑制された言葉遣いで、一筋ならではない遊女の世界を描き切っていると思います。
短編は限られた言葉で世界を構築するもの。
登場人物の命名さえ気を抜けないものです(そうであればこそ、ときにはあえて名前を与えない方がいいこともあります)。
この作品は、主人公が良くも悪くも特別視する遊女仲間に「幻蝶」という名前を与えているのですが、それが作品を象徴するイメージに昇華されており、読者に忘れがたい余韻を残します。
ネタを割るのは控えますが、これが単なる「蝶」でないこと、「幻(の)蝶」であることに注目していただきたいところです。
また、3人の主な登場人物は、みな水揚げ前…続きを読む