鬱にならない復讐劇 シリアス&コメディのシナジー効果

他の方が素晴らしいレビューを書かれているので、重複しないように書きます。

この作品の凄いと思わせる点はリアルさです。
ファンタジーで作り話なのでリアルなわけがないのですが、リアルに感じます。
どこか別の世界の本当の話を聞いているような気分になれます。
何故かというと、世界や人物の作り込みが尋常ではないからです。
よくここまで考えてるなと感心するほど精巧に作られています。
世界観を書いた本を作れば、分厚い本が出来そうです。
登場人物も皆、命が与えられたようにリアルで生きています。
他の作品の登場人物は、作者のストーリーに合わせて動く [出来の悪いAI]
(人口知能) みたいなんですが、この作品の登場人物は血が通い生きています。
これも作り込みがハンパではないからだと思います。
脇役でありながら、生い立ちから人格形成までしっかり作られていて
違和感がありません。
何故そういう行動振る舞いをとるのか、自然と理解できてしまいます。
ただこのリアルさが仇になり、心をえぐる話が多々あります。
そこに絶妙にコメディを入れて緩和ケアをしてくれます。
このアメとムチの波状攻撃で、すっかり癖になってしまいます。

WEB小説では十分な評価はされにくいダークファンタジーという分野ですが、
傑作です。
ご都合主義の生ぬるい小説では満足出来ない、と言う方に非常にオススメします。

その他のおすすめレビュー

ネコマルさんの他のおすすめレビュー6